16/12/2024
【新刊】
★〈オーストリア綺想小説コレクション 1〉
『廃墟建築家』(ヘルベルト・ローゼンドルファー著/垂野創一郎訳)
廃墟建築家の設計した巨大地下シェルターに誘いこまれた語り手が夢みるのは、カストラートの七人の姪が語る不思議な物語。音楽への愛にあふれ、オーストリア・バロックの粋をこらした魔術的遠近法。
さて少々長くなりますが、以下に本シリーズについての解説文を転載しておきます。全3巻。よろしくお願いします。
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千年の歴史を誇り、最盛期には広大な領土を保有していたハプスブルク帝国。しかし第一次世界大戦が終わると、それは中欧の小共和国と化してしまった。いままで存在しているとばかり思っていた「帝国」は空疎な幻だったのか。 しかし失われた帝国への想いは、その後も見果てぬ夢として、もともとあった奇矯さを誇張されながら生きながらえ、ある種の作家の尽きせぬ霊感の源となった。そこでは世界は迷宮でなければならない。煩雑な官僚制度が支配していなくてはならない。モーツァルトが絶えず奏でられてなくてはならない。何より、その日その日を愉快に暮らすために存在する巨大な遊園地でなければならない...... このコレクションは、今まであまり知られていなかったそうした作家・作品を精選し、オーストリアの豊饒な幻想世界をその一端なりとも紹介しようとするものである。
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※第1巻書籍URL↓
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336076809/