
24/01/2025
出久根達郎のエッセイ「ムダを愛する町」(南陀楼綾繁編『中央線随筆選』所収、同エッセイの初出は1993年)を読みました。
出久根氏は言わずと知れた直木賞作家で高円寺在住の古書店主。
このエッセイは、当時(1993年)、高円寺にあった古本屋の歴史や、そこを訪ねて店主などに話を訊いたことが書いてあり、今となっては貴重な記録です。同時代に、そういう店に通っていた私にとっては、とても懐かしい。
そして、そこにはなぜ高円寺にはこんなにも書店が多いのかということが書かれています。
「書物は、現在の空腹を満たすものでない・・・大方の者にとってはムダでしかない。ムダを粋としよしと賞する人が高円寺には多いという事である。だから四十数軒の本屋がやっていけるのである。高円寺は、通人の町なのだ」。
今も、当時の40軒とはいかないまでも、20軒以上の書店があり、相変わらず、北口にある西部古書会館で開かれる古書市には人がいっぱい押し寄せる。
全国で書店が次々と閉店している趨勢に抗う如く。
そして、このエッセイには、「(高円寺には)出版社が二十四軒」とあって驚きました。今は有志舎とリイド社くらいかも。
高円寺の出版社がもっと増えて欲しいし、そうやって高円寺を「本の街」として復活させたいものです。
そのために去年、「高円寺 本の街商店会」を発足させました。
本の街商店会は、本を通した街づくりの三つの理念を高円寺で実現し、 住んでいる人、商いをしている人が誇りを持てる街にしていきます。