このコンクールは、広く有能な音楽家の発掘、育成に努め、世界の楽壇への活躍を力強く推進すると共に、世界各国との音楽文化交流の推進・発展を目的として設立されました。
指揮者のコンクールは、海外ではブザンソン国際指揮者コンクール(1951)、ニコライ・マルコ指揮者コンクール(1965)などが既に始まっていましたが、日本における「指揮者コンクール」は初めてでした。
当時の東京国際音楽コンクール(当時の名称は民音コンクール)は、1966年に<声楽>、1967年に<指揮>、1974年に<室内楽>の第1回コンクールが行われ、各部門、3年ごとに開催されていました。
現在は<指揮>部門のみが開催されています。
偉大なる系譜 ~歴代の審査委員~
初代の審査委員長は、指揮者界に「齋藤指揮法」にて多大な貢献を果たし、小澤征爾氏はじめ多くの著名な音楽家を育てた齋藤秀雄氏。
実は、この指揮者コンクールは齋藤秀雄氏の全面的な協力があり、日本を代表する音楽家が集結してスタートすることができました。
現在のコンクールにおいても、創設時からの多大なる功績を顕彰し、≪齋藤秀雄賞≫を設置しています。
齋藤秀雄氏からバトンを受け、第4回(1976)から10回(1994)までは朝比奈隆氏が審査委員長を務め、フランコ・フェラーラ氏をはじめ優れた海外審査委員を導入し、コンクールはますますの発展を遂げていきます。
また第1回(1967)から小澤征爾氏も数回に亘り、審査委員を務め、現在でも組織委員会として携わっております。
小澤氏は東京国際音楽コンクールに対して「大切なコンクールであって、齋藤先生の残された大きな偉業の一つであり、さらに立派なものとしてほしいと願っています」と語っています。
そして現在、第1回(1967)から今日に至るまで全ての回で審査を務めてきた外山雄三氏が、第11回(1997)から審査委員長を務めております。
こうして、齋藤秀雄氏をはじめ多くの歴代審査委員の「次代の優れた指揮者を育てたい」との情熱が、現代に、引き継がれているのです。
世界に羽ばたく若き才能 ~ハイレベルな審査を超えて~
現在、世界中からコンクールへの応募があり、審査を勝ち超えた多くの若き音楽家が成長し、世界へと羽ばたいていきました。歴代の受賞者には、現在では審査委員を務める尾高忠明氏、広上淳一氏など世界で活躍するマエストロが名を連ねます。
2000年、下野竜也氏が第12回で第1位(氏は翌年2001年ブザンソン国際指揮者コンクール第1位)を獲って以来、2015年の 第17回の第1位ディエゴ・マルティン・エチェバリア氏がでるまでに、 15年間1位がでないほどハイレベルな審査のコンクールであり、それゆえに世界で活躍している歴代の入賞者が数多くいます。
今年の開催で18回目を数える、東京国際音楽コンクール<指揮>。
これからも世界的な指揮者への登竜門として、新しい時代の楽壇を担いゆく人材の輩出のために、大きく貢献できるようにしてまいります。
2018年
東京国際音楽コンクール<指揮>事務局