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ビデオニュース・ドットコムは、日本人ビデオジャーナリストの草分けとしてテレビ朝日ニュースステーションやTBSニュース23などで精力的なジャーナリスト活動を行ってきた神保哲生が、「日本にも広告に依存しない独立系の民間放送局が必要」との考えのもとで1999年11月に立ち上げた日本初のニュース専門のインターネット放送局です。

ディスクロージャー & ディスカバリー 第22回(2024年7月27日)『行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している』司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)【掲載ページ】 http...
27/07/2024

ディスクロージャー & ディスカバリー 第22回(2024年7月27日)
『行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している』
司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)

【掲載ページ】 https://www.videonews.com/disclosure_discovery/22

 第22回のディスクロージャーは行政機関の公益通報者保護が正常に機能していない問題を取り上げた。

 公益通報とは、組織内で不正や違法行為があった時、組織の構成員がその情報を組織内の適切な部署や行政機関、さらには外部の報道機関などに提供すること。その通報を通じて、組織の健全な運営を図ることを目的としている。そして、公益通報者保護制度というのは、公益的な目的で組織の不正などを通報した者に対して、その後、制裁を加えたり人事面で不利な扱いをすることを禁止する制度だ。2006年から法律が施行されている。

 公益通報は組織内の情報を組織の構成員が公益的な動機から外部に提供する行為であり、外部から情報の開示を求める情報公開請求とは表裏一体の関係にある。外部から情報公開請求を行うだけでは、実際に組織内でどのような不正行為が行われていたのかや組織が正常に機能していたのかどうかをうかがい知ることは容易ではない。また、外部からはその組織がどのような情報を保有しているかもわからないが、内部の人間はそれをすべて知っている。

 公益通報者保護法は行政、民間を問わずあらゆる組織に適用される法律であり制度だが、民間の企業や組織と比べた時、行政機関には乗り越えなければならない高いハードルがある。それは国家公務員も地方公務員も、それぞれの公務員法によって守秘義務が課されていることだ。守秘義務を課された公務員が、業務上知り得た情報を外部に漏らせば、本来は公務員法違反となる。しかし、法律の建て付けでは、その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され、公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている。通報内容が「もっぱら公益目的」、かつ「重大な犯罪」でなければ、公務員法違反となってしまうのだ。

 そして、公益通報を行う公務員が乗り越えなければならないハードルは、警察官でも同じだ。第1215回のマル激で扱った鹿児島県における警察幹部による警察官の犯罪の隠蔽の摘発も、この問題が関係してくる。

 鹿児島県警は県警の警察官や警察関係者による犯罪行為に関する捜査資料を外部のジャーリストに情報提供したことが、公務員法の守秘義務違反に当たるとして、警察官2人を逮捕している。そのうちの1人は直前に鹿児島県警の生活安全部長を定年退官したばかりの、上級幹部だった。

 逮捕にあたり鹿児島県警のトップである野川明輝本部長は記者会見で、元生活安全部長の警察職員によるメディアへの情報提供は「公益通報には当たらない」との考えを示した。その理由として、警察職員が提供した情報の中には、被害者情報など犯罪の摘発に直接関係のない情報が含まれていたことなどがあげられている。

 つまり、メディアに提供された情報のうち、犯罪に直接関わる部分については公益的通報に当たる可能性があるが、それ以外の情報も含まれていた瞬間に、それは違法行為となるというのが、鹿児島県警の認識ということになる。

 しかし、犯罪行為を提供する際に、その周辺情報を一切含まない形で摘発するというのは、必ずしも現実的ではない。特に今回のように、提供された捜査資料の中に被害者の個人情報が含まれていたことが問題視されることになると、情報提供を受けたメディアは、その情報の裏取り、つまり事実確認さえできなくなってしまう。

 鹿児島県警以外では、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題に関して、告発を行い誹謗中傷やパソコンの私的利用を理由に懲戒処分を受けた元西播磨県民局長が自死するという事態が起きている。これは県が知事の違法行為を摘発する公益通報を行った職員のパソコンを押収した上で、パソコン内にあった職員のプライバシーに関わる情報を他者に開示するなどして、告発をした職員に圧力をかけた結果だったと考えられている。これもまた、行政機関内の公益通報者保護が徹底されていない結果起きた悲劇だった可能性が高い。

 つまるところ、公益通報者保護制度は地方自治体や官庁ではほとんどまともに機能していないようだ。公務員法の守秘義務というハードルのため、公益通報者が逮捕されたり懲戒処分を受けたりすることが頻発しているのだ。民間企業はもとより税金で運営されている行政機関こそ、違法行為が隠蔽されるようなことがあってはならないことは論を俟たない。より公益通報者保護制度が機能してくれなければ困る行政機関内で、公益通報が難しくなっている現状は変わってくれなければ困る。

 現行の公益通報者保護制度の最大の弱点は、この制度が元々、消費者保護を目的とした消費者行政の延長線上にあり、行政の健全な運営を担保するための制度ではないことだ。そのため管轄官庁も消費者庁になっている。無論、消費者保護は重要だが、行政機関の健全な運営のためには、現行の公的通報者保護制度を強化するか、もしくは消費者保護とは切り離した形で、行政機関を対象とする新たな公的通報者保護制度を定める必要があるのではないか。

 行政機関の公益通報をめぐる諸問題について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。

【プロフィール】
三木 由希子(みき ゆきこ)
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
1972年東京都生まれ。96年横浜市立大学卒業。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年NPO法人情報公開クリアリングハウスを設立し室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『社会の「見える化」をどう実現するか―福島第一原発事故を教訓に』、『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』など。

神保 哲生(じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。(www.videonews.com)

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

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マル激トーク・オン・ディマンド 第1216回(2024年7月27日)『なぜヨーロッパの右傾化が止まらなくなっているのか』ゲスト:渡邊啓貴氏(帝京大学法学部教授)司会:神保哲生、宮台真司【掲載ページ】https://www.videonews...
27/07/2024

マル激トーク・オン・ディマンド 第1216回(2024年7月27日)
『なぜヨーロッパの右傾化が止まらなくなっているのか』
ゲスト:渡邊啓貴氏(帝京大学法学部教授)
司会:神保哲生、宮台真司

【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-talk/1216/

 ヨーロッパの右傾化が止まらない。

 欧州議会選挙に続いて、フランスの下院総選挙でも極右勢力が軒並み躍進を遂げた。ヨーロッパはこのまま右傾化していってしまうのか。それともこれは一時的な現象なのか。

 また、ヨーロッパの極右政党の主だった政治的主張は、現在大統領選挙の佳境を迎えつつあるアメリカのトランプ前大統領が主導する「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」の主張とも酷似している。欧州と米国の両方で右傾化や極右化が進めば、日本にもその影響が出ないはずがない。

 6月に行われた欧州議会選挙における右派の躍進に危機感を覚えたフランスのマクロン大統領は6月9日、唐突にフランス下院を解散し総選挙の実施を宣言した。6月30日と7月7日の2回に渡ってフランス全土で実施された総選挙では、マクロンの思惑とは正反対の結果が出てしまった。元々単独では過半数に届いていなかったマクロン大統領の支持基盤である与党連合は、78議席を失い168議席まで減らす大敗を喫した。しかし、極右政党国民連合の伸張に危機感を覚えた29以上の勢力から成る左派が力を結集し、与党連合と200以上の選挙区で候補者の一本化を図った結果、最終的には全577議席中左派連合が最多の182議席を獲得し第1党となり、国民連合は54議席増の143議席にとどまった。

 結果的に左派が大きく議席を伸ばすことにはなったが、それもこれも国民連合の躍進を阻止するために左派が小異を捨てて大同についた結果だった。

 フランス政治に詳しい渡邊啓貴氏は、フランス総選挙は2つの意味でマクロンの完敗だったと断言する。1つ目はマクロンが率いる与党連合が大きく議席を減らしたこと。また、もう1つは極右勢力の議席獲得を防ぐために与党連合と左派連合が選挙協力した結果、マクロンと敵対するメランションの率いる急進左派政党「不服従のフランス」などが、第1党になってしまったことだ。

 フランスでは当面パリ五輪とバカンスシーズンということもあり政争は休戦に入るが、首相に誰を据えるかも含め、マクロン政権は政治的に困難な舵取りを求められることは必至だ。

 渡邊氏は今回の選挙で急進左派を含む左派連合と極右勢力が議席を伸ばしたことについて、右派も左派もポピュリズムに訴えて支持を伸ばしてきた点を指摘する。フランスでは移民の急増に対する反発と、コロナ後の収束やウクライナ戦争以降のエネルギー価格の高騰による高いインフレが問題となっており、低所得層や生活困窮者にとっては、いずれも看過できない問題となっている。極右政党も急進左派政党もいずれもこの争点を掲げて選挙戦に臨んできた。

 移民の急増やインフレによる生活困窮などが起きた時、市民は将来不安を覚える。元々、右派も左派もそこに訴えかけるのがポピュリズムだ。ポピュリズムは市民の熱狂を巻き起こしやすいのに対して、極端な政策を掲げない中道は支持が集まりにくい。そもそも「中道ポピュリズム」というものは成り立ち難いからだ。

 一方、それくらい脅威になるほど、近年のフランスでは極右勢力が伸びてきていることも確かだ。2012年には2議席だった国民戦線(現・国民連合)の下院の議席数は、2017年に8議席、2022年に89議席、そして今回の選挙では143議席に達している。このまま党勢を増せば、時間の問題で過半数の289議席に到達すると見る向きもある。

 そして、極右政党が勢力を伸ばしているのはフランスに限ったことではない。EU圏内ではすでにイタリアやハンガリーで、極右政党が国のトップの座についているし、ドイツやオランダ、スウェーデンでも極右政党が勢いを増している。

 そしてアメリカでもトランプ現象だ。バイデン大統領の選挙戦からの撤退で大統領選挙の方はまだ先行きが見えなくなっているが、少なくともここまでは全体としてトランプ陣営に勢いがあることは明らかだ。

 ヨーロッパでもアメリカでも、これらの政治勢力はほぼ例外なく自国第一主義を掲げ、反グローバリゼーション、反移民・難民、反イスラム、反気候変動対策などを主張している。そして、特にフランスではEU懐疑主義は急進左派にも共通した政策となっている。右派も左派も伝統的な経済政策を維持することが難しくなり、いずれもがポピュリズムに訴えることで支持基盤を広げる道を選んだ結果と考えられる。

 ヨーロッパの極右勢力の台頭にはどのような背景があるのか、ヨーロッパはこのまま右傾化していくのか、それは世界や日本にどのような影響を及ぼすのかなどについて、帝京大学法学部教授の渡邊啓貴氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

【プロフィール】
渡邊 啓貴 (わたなべ ひろたか)
帝京大学法学部教授、東京外国語大学名誉教授
1954年福岡県生まれ。78年東京外国語大学フランス語学科卒業。86年パリ第1大学大学院博士課程修了。専門はヨーロッパ国際関係論、フランス政治・外交、米欧関係論。東京外国語大学助教授、同教授などを経て2019年退職し名誉教授。同年より現職。著書に『アメリカとヨーロッパ』、編著に『フランスと世界』など。

宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

【ビデオニュース・ドットコムについて】
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

カテゴリー  ヨーロッパの右傾化が止まらない。 欧州議会選挙に続いて、フランスの下院総選挙でも極右勢力が軒並み躍進を遂げた。ヨーロッパはこのまま右傾化していってしまうのか。それともこれは一時的な現象な.....

マル激トーク・オン・ディマンド 第1215回(2024年7月20日)『公益通報者を逮捕し報道機関にまでガサ入れをする鹿児島県警をどう裁くべきか』ゲスト:青木理氏(ジャーナリスト)司会:神保哲生、宮台真司【掲載ページ】https://www....
20/07/2024

マル激トーク・オン・ディマンド 第1215回(2024年7月20日)
『公益通報者を逮捕し報道機関にまでガサ入れをする鹿児島県警をどう裁くべきか』
ゲスト:青木理氏(ジャーナリスト)
司会:神保哲生、宮台真司

【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-talk/1215/

 日本には本来は先進国であれば必ず備わっていなければならない警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しないことをご存じだろうか。

 鹿児島県警は警察関係者の犯罪を内部告発した元幹部を逮捕し、その情報提供先となったネットメディアの事務所に家宅捜索に入った。どんな組織にでも多少は身内贔屓はあるかもしれないが、これはもはやそんな次元を超えた、公益通報者保護制度の破壊であり、報道の自由の侵害に他ならない。

 鹿児島県警は今、2つの内部通報に揺れている。1つは元県警生活安全部長の本田尚志氏が警察による隠蔽が疑われる事件について告発文を送ったというもの。もう1つは同じく県警元巡査長の藤井光樹氏が不正捜査が疑われる事案について資料などを提供したというものだ。いずれも警察の不正を内部から告発するもので、福岡県をベースにネットでニュースを配信している「ハンター」とそこに寄稿しているフリーのジャーナリストに情報は提供されていた。これはいずれも組織内の違法行為を告発するもので、明らかに公益通報の範疇に入るものだったが、鹿児島県警は内部告発者を逮捕し、ハンターの事務所を家宅捜索した。

 藤井氏は県警の「告訴・告発事件処理簿一覧表」などの資料をハンターに提供したとして4月8日、地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕され、5月20日に起訴されたが、その処理簿には2021年の強制性交事件に関する情報などが含まれていた。これは医師会の職員による看護師に対する強制性交事件で、被害者の度重なる訴えにもかかわらず事件化されていなかったが、その職員の父親は鹿児島県警所属の警察官だった。

 藤井氏は7月11日に鹿児島地裁で行われた初公判で起訴内容を認め、争わない姿勢を示しているが、同時に強制性交事件の捜査に疑問を感じたことが告発の動機だったとも述べている。この問題を取材しているジャーナリストの青木氏は、藤井氏の行動は公益通報以外の何物でもないと指摘する。

 県警はハンターの事務所を家宅捜査した際に、パソコンやハンターの代表者である中願寺純則氏の携帯電話を押収しているが、その中にあったデータから藤井氏の他にも内部告発者がいることを突き止め、藤井氏に続いて元生活安全部長の本田氏が逮捕された。

 本田氏もまた鹿児島県警の職員によるストーカー事件や盗撮事件に関する情報を提供していたが、いずれの事件も事件化しておらず、警察による身内の隠蔽が疑われるものだった。本田氏は告発文の中で「闇をあばいてください」と訴えていた。

 今回露呈した問題は大きく分けて3つある。まず警察官による犯罪は県警のトップである本部長の直轄案件となるため、本部長自らが隠蔽を指示していた疑いが濃いということ。犯罪の隠蔽、しかも被害者が存在する犯罪の隠蔽ということになれば、身内贔屓で済まされる問題ではない。加えて、今回の強権発動は警察という組織では決して内部告発は許さないという強い意志を示すことが目的だと思われるが、そのために内部告発した警察職員を様々な理由をつけて「あれは公益通報には当たらない」と決めつけ逮捕までしていること。そして、3つ目が、内部告発者を特定する目的で情報の提供先となったメディアに強制捜査にまで入ったことだ。言うまでもなく1つ目は警察という組織の信頼の根幹を揺るがすものだし、2つ目は公益通報者保護制度を根底から破壊する行為、そして3つ目は報道の自由を侵害する憲法違反に他ならない。

 実際、警察官による犯罪が疑われる行為は表沙汰になったものだけでも非常に多い。一般市民で得られない情報を得られる立場にあり、強大な権力を持った警察官は、よほど規律を厳しく徹底しないと、容易に犯罪に手を染めかねない立場にいる。しかも、警察が警察官を逮捕することは希だし、仮に捕まっても自身の経歴に傷を付けたくない県警本部長の温情と身内贔屓の体質故に、罪に問われずに処理されてしまう場合が多い。しかし、今回鹿児島で起きたような内部告発が許容されれば、どこの警察にも正義感を持った警察官が多少なりともいるだろうから、下手をすると日本中の警察で内部告発が乱発され、収拾が付かなくなるおそれがある。少なくとも鹿児島県警の野川明輝本部長がそう考えたとしても不思議はないだろう。

 今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく、小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう。藤井元巡査長も本田元生活安全部長も、記者クラブに加盟する大手メディアに情報を提供しても報道されないばかりか、下手をすると彼らの情報提供の事実が警察に通報されることを恐れた。警察の内部事情や日頃の警察と記者クラブとの関係をよく知る元警察官だからこそ、警察官の犯罪を告発する対象としては既存のメディアがまったくあてにならないことを熟知していたはずだ。実際に今回内部告発者の警察官が逮捕された事件も、一部で報道はされているが、事態の深刻さを考えると、その報道量はまったく足りていない。

 極めつけは藤井氏がハンターに提供した一連の情報の中にあった、警察内で回覧されている「刑事企画課だより」という資料だ。これには、事件記録を速やかに廃棄するよう促す内容が記された上で、「再審や国賠請求において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」などと書かれていた。後に警察に不利になりそうな資料はあらかじめ全部廃棄しておけという警察内の指令だ。一体、警察はどこまで腐ってしまったのだろうか。

 一連の事件が露わにしているものは、警察の隠蔽体質はもとより、そもそも犯罪を取り締まる立場にある警察の犯罪は誰が取り締まるのかという問題が日本では未解決となっていることだ。泥棒に泥棒が捕まえられるわけがない。日本では本来は国家公安委員会と各都道府県に設けられた公安委員会がその任にあたる立場にあるが、歴史的に公安委員会は警察によって骨抜きにされ、本来の機能を期待すべくもないお飾りの組織に成り下がっている。しかも、青木氏によると、年収2,000万円を超える公安委員会の委員には大手報道機関のOBにまで指定席が用意されているという。警察の腐敗も深刻だが、警察とメディアとの癒着も底なし沼だ。

 鹿児島県警で今何が起きているのか、警察の身内の犯罪の隠蔽や内部告発者の逮捕、メディアへの介入を許していいのか、警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

【プロフィール】
青木 理 (あおき おさむ)
ジャーナリスト
1966年長野県生まれ。90年慶應義塾大学文学部卒業。同年共同通信社入社。大阪社会部、成田支局、東京社会部、外信部、ソウル特派員などを経て2006年退社。著書に『日本の公安警察』、『国策捜査』、『絞首刑』など。

宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

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セーブアース 第22回(2024年7月19日)『高断熱・高気密で快適で環境に優しい住宅を』ゲスト:前真之氏(東京大学大学院工学系研究科准教授)司会:井田徹治、新井麻希【掲載ページ】 https://www.videonews.com/sav...
19/07/2024

セーブアース 第22回(2024年7月19日)
『高断熱・高気密で快適で環境に優しい住宅を』
ゲスト:前真之氏(東京大学大学院工学系研究科准教授)
司会:井田徹治、新井麻希

【掲載ページ】 https://www.videonews.com/saveearth/22

 地球環境に関わる諸問題を掘り下げるセーブアース。第22回の今回は日本の住宅問題を扱う。

 グテーレス国連事務総長が「地球沸騰化」とまで言う現代。国内だけでも最高気温は大幅に上昇し、猛暑日の日数も増え続けている。地球温暖化への対応が急務であることは論を俟たないが、そうした中で、日本では見落とされがちな対策がある。それが住宅の断熱性だ。

 住宅の断熱性を向上させれば、冷暖房に使われるエネルギーを大きく節約することができる。しかし、近年まで極端な気温の上昇がなかった日本では、風通しを良くすることを重視した夏棟住宅が多く建設されてきた。風通しの良い夏棟住宅は気密性が低いため、自ずと冷暖房の使用量が多くなってしまう。

 住宅環境が専門で断熱に詳しい前真之東京大学准教授は、省エネに効果のある技術として、「断熱・気密」、「高効率設備」、「太陽エネルギーの活用」の3つを挙げ、日本は高効率設備に熱心な分、断熱・気密と太陽エネルギーの活用が疎かになってきたと指摘する。

 2025年度から住宅を建設する際の断熱・気密対策の義務づけが始まることになったが、義務づけられている基準はまだ非常に緩いものだと前氏は言う。現在の基準は2030年度までに引き上げられる見込みだが、その水準でもまだ不十分だと前氏は言う。

 太陽エネルギーの活用については、東日本大震災後に再生可能エネルギーの有利な価格での買取りを義務付ける固定価格買い取り制度(FIT)が始まった。2011年当初は、バブルと言ってもいいほど太陽エネルギーの発電量が急増したが、その後買い取り価格の低下とともに発電量は伸び悩んでいる。

 そもそもこれら3つの技術は、相互に組み合わせることによって省エネルギーが実現できるものだ。また、それが実現できれば、住宅としてもより快適なものとなる。

 環境に優しく快適な生活を送ることのできる住宅とはどのようなものか、そしてそれをどのように普及させていくのか。前真之氏と環境ジャーナリストの井田徹治、キャスターの新井麻希が議論した。

【プロフィール】
前 真之(まえ まさゆき)
東京大学大学院工学系研究科准教授
1975年広島県生まれ。98年東京大学工学部卒業。2003年同大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。独立行政法人建築研究所研究員、東京大学大学院東京電力寄付講座客員助教授などを経て08年より現職。著書に『エコハウスのウソ』など。

井田 徹治(いだ てつじ)
共同通信編集委員兼論説委員 環境・開発・エネルギー問題担当
1959年東京都生まれ。83年東京大学文学部卒業。同年共同通信社入社。科学部記者、ワシントン特派員などを経て2010年より現職。著書に『ウナギ』、『生物多様性とは何か』、『データで検証 地球の資源』など。

新井 麻希(あらい まき)
キャスター
1982年東京都生まれ。2004年慶應義塾大学法学部卒業。05年TBSテレビ入社。アナウンス部を経て10年よりフリー。

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カテゴリー「環境」  地球環境に関わる諸問題を掘り下げるセーブアース。第22回の今回は日本の住宅問題を扱う。 グテーレス国連事務総長が「地球沸騰化」とまで言う現代。国内だけでも最高気温は大幅に上昇し、猛暑...

【無料放送】プレスクラブ(2024年7月18日)『産業別労働組合であるが故に弾圧されている関生支部の執行委員長らが会見』【掲載ページ】 https://www.videonews.com/press-club/20240718-kannam...
18/07/2024

【無料放送】プレスクラブ(2024年7月18日)
『産業別労働組合であるが故に弾圧されている
関生支部の執行委員長らが会見』

【掲載ページ】 https://www.videonews.com/press-club/20240718-kannama

 組合運動が威力業務妨害や恐喝とみなされ組合員が相次いで逮捕されている全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の幹部らが7月18日、日本外国特派員協会で会見し、組合運動に対する警察捜査の不当性を訴えた。

 会見を行ったのは関生支部の湯川裕司執行委員長と、生コンクリート業者「今栖産業」の島田弦季代表取締役、湯川氏の弁護人を務める中井雅人弁護士の3人。

 関生支部は関西地方の生コンクリートを運ぶミキサー車の運転手らで組織される産業別労働組合。企業別労働組合が主流の日本では、企業の垣根を越えた産業別労働組合は異色の存在となっている。大阪、京都、滋賀、和歌山の4府県で2018年以降、関生の組合員ら延べ89人が威力業務妨害などの疑いで逮捕されている。

 委員長の湯川氏自身も威力業務妨害や恐喝の疑いで8度にわたり逮捕され、黙秘をしたために勾留期間は644日に及んだという。2023年3月2日、滋賀県の大津地裁は湯川氏に懲役4年の判決を言い渡した。湯川氏は控訴し、今も係争中だ。

 湯川氏は会見で、企業別労働組合が主流となっている日本で戦前から産業別労働組合が弾圧されてきた歴史に触れ、「ストライキなどをする労働組合は反社会勢力だという位置付けにして、国家権力が弾圧してきた」と述べた。また「この国は民主主義国家なのか。少なくとも産業民主主義ではない」と語った。

 同一企業の社員で構成される企業別労働組合は、ストライキを打つとその企業が競合他社との競争で不利になるため、ストを打ちにくいなどの欠点がある。これに対し、企業の枠を超えて産業を横断した産業別労働組合は、競合他社を有利にすることなくストが打てるなどの利点があり、組合の発言力もより大きくなる。

 中井弁護士は実際に暴力が行われたケースは1つもないことを強調した上で、一連の逮捕の不当性を訴えた。

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カテゴリー  組合運動が威力業務妨害や恐喝とみなされ組合員が相次いで逮捕されている全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の幹部らが7月18日、日本外国特派員協会で会見し、組合運動に対する.....

マル激トーク・オン・ディマンド 第1214回(2024年7月13日)『新しい「育成就労」制度の下で日本は外国人労働者に定着してもらえる国になれるのか』ゲスト:安里和晃氏(京都大学大学院准教授)司会:迫田朋子、宮台真司【掲載ページ】https...
13/07/2024

マル激トーク・オン・ディマンド 第1214回(2024年7月13日)
『新しい「育成就労」制度の下で日本は外国人労働者に定着してもらえる国になれるのか』
ゲスト:安里和晃氏(京都大学大学院准教授)

司会:迫田朋子、宮台真司

【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-talk/1214/

 日本で働く外国人労働者の数が去年200万人を超えた。

 人手不足が続く日本で、長期間産業を支える人材を確保するためには、外国人労働者が不可欠なことは誰の目にも明らかだろう。

 外国人労働者については、これまで人権侵害や失踪者の増加など多くの問題が指摘されていた従来の技能実習制度を廃止し、新たな制度を設ける法律が作られた。技能実習制度は建前上は国際貢献を目的としていたが、実際には労働力不足を補うために利用されるなど、実態と目的が解離していた。しかもこの制度の下では、年間1万人近い人が失踪するなど、外国人労働者の人権が蔑ろにされていることがたびたび問題視され、アメリカ国務省の報告書では人身取引とまで批判されてきた。

 新たな法律の制定で技能実習制度はようやく廃止となる。

 入れ替わりで導入されるのが、人材確保と育成を目的とする「育成就労」制度と呼ばれるもので、原則3年の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成することを目的とするなど、技能実習制度と比べれば少なくとも目的に即した制度となることが期待される。また、旧制度では転職が認められていないことが人権侵害やハラスメントなどの原因となっていたが、新たな制度では一定の条件の下で転職も認めている。受け入れ対象分野も、建設、農業、介護、外食業など、その後の在留資格と合わせてキャリアアップの道筋がより見えやすい形となることが期待されている。

 技能実習制度など外国人労働の実態に詳しく、実際に外国人労働者の相談にも乗ってきた京都大学の安里和晃氏は、新たな制度の導入によりこれまで単純労働と高度人材に二極化していた外国人労働者の扱いが、ある程度はしごをかけた形になることに一定の評価をしつつも、長らく問題が指摘されてきた制度の改正にここまで時間がかかったことを問題視する。安里氏はその背景に、外国人労働者は主に出入国管理庁の管轄下に置かれてきたために、労働者として扱われずに来た経緯があると指摘する。

 また、新たな制度の下でも家族の帯同は認められていない。安里氏は、これを労働力としての外国人は欲しいが、移民は受け入れたくないという政府の身勝手な姿勢の表れだとして、これをダブルスタンダードだと批判する。これでは日本は外国人労働者に来てほしいのかほしくないのかがはっきりせず、働く人から見れば長期的に安心して働くことができない。

 実際に介護の現場で働く外国人の例などを交えながら、新たな育成就労制度の下で外国人労働者の人権を守りつつ、労働力の確保が可能になるのか、グローバルな人材獲得競争のなかで日本が生き残る道はどこにあるのかなどを、安里和晃氏と社会学者の宮台真司、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。

【プロフィール】
安里 和晃 (あさと わこう)
京都大学大学院文学研究科准教授(国際連携文化越境専攻)
1971年沖縄県生まれ。93年琉球大学法文学部卒業。2006年龍谷大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。学術振興会特別研究員などを経て08年より現職。編著に『国際移動と親密圏』、『労働鎖国ニッポンの崩壊』など。

宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

迫田 朋子 (さこた ともこ)
ジャーナリスト
1956年神奈川県生まれ。80年東京大学医学部保健学科卒業。同年NHK入局。アナウンサー、解説委員、制作局エクゼクティブ・ディレクターなどを経て2016年退職。同年よりビデオニュース・ドットコムに移籍。著書に『医療現場取材ノート』など。

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カテゴリー「外国人労働者」  日本で働く外国人労働者の数が去年200万人を超えた。 人手不足が続く日本で、長期間産業を支える人材を確保するためには、外国人労働者が不可欠なことは誰の目にも明らかだろう。 外.....

永田町ポリティコ 第27回(2024年7月8日)『都知事選で見えてきた既存政党と既存メディアの限界と新しい選挙の形』司会:角谷浩一(政治ジャーナリスト)、神保哲生(ジャーナリスト)【掲載ページ】https://www.videonews.c...
08/07/2024

永田町ポリティコ 第27回(2024年7月8日)
『都知事選で見えてきた既存政党と既存メディアの限界と新しい選挙の形』
司会:角谷浩一(政治ジャーナリスト)、神保哲生(ジャーナリスト)

【掲載ページ】https://www.videonews.com/politico/27

 7月7日に投開票された東京都知事選挙は現職の小池百合子都知事の圧勝という下馬評通りの結果となったが、既存政党の支援を受けずにネットによる選挙運動をフル活用した石丸伸二氏の躍進が目立つ一方で、立憲民主党と共産党から手厚い支援を受けていた蓮舫元参院議員は惨敗という結果に終わった。

 小池氏は自民党と公明党の支持層の票の大半を得た他、高齢者を中心に無党派層からも幅広い支持を受け、4年前の都知事選からは70万票あまり得票を減らしたものの、全体の42.8%にあたる291万票を得ての圧勝だった。

 参院議員を辞任して知事選に臨んだ蓮舫氏だったが、結果的に3位に終わり、今後立憲民主党内では執行部や都連の責任問題に発展する可能性まで出てきている。

 石丸氏がネットを中心とした選挙戦を展開することで既存政党の支持を受けずに165万票を獲得して2位に入ったことは、今後の日本の選挙戦の形を根本的に変える可能性がある。また、石丸氏の躍進は、日本の選挙の主戦場がテレビからインターネットに移ったことを示唆している。

 その一方で、自民党、立憲民主党を始めとする既存政党は、選挙戦略、とりわけネット戦略を根本的に練り直す必要があるだろう。今後の選挙では今回の石丸氏の成功に倣って、ネット選挙を展開する候補者が増えることが予想されるからだ。石丸氏の成功によって、高度なネット戦略があれば既存政党候補にも十分に太刀打ちできる可能性があることが明らかになった。

 無党派層や若者票の掘り起こしを狙った選挙戦を展開した蓮舫氏も、ネット戦略がうまく機能せず、無党派層と若者のいずれからも期待したほどの支持を得ることができなかった。蓮舫氏が惨敗したことに加え、都議会の補欠選でも1議席しか取れなかった立憲民主党は、更に深刻な事態を迎えることとなった。

 その一方で、自民党もまた、事実上支援した現職の小池氏は勝ったものの、同時に行われた都議会議員の補欠選挙で9議席中2議席しか獲得できず、依然として政治とカネを巡る逆風が続いていることを痛感させる結果となった。

 都知事選の選挙結果とその背景、そして今後の選挙や政局に与える影響などについて、政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が議論した。

【プロフィール】
角谷 浩一(かくたに こういち)
政治ジャーナリスト
1961年神奈川県生まれ。85年日本大学法学部新聞学科卒業。東京タイムズ記者、「週刊ポスト」、「SAPIO」編集部、テレビ朝日報道局などを経て1995年より現職。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

【ビデオニュース・ドットコムについて】
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カテゴリー  7月7日に投開票された東京都知事選挙は現職の小池百合子都知事の圧勝という下馬評通りの結果となったが、既存政党の支援を受けずにネットによる選挙運動をフル活用した石丸伸二氏の躍進が目立つ一方で、...

マル激トーク・オン・ディマンド 第1213回(2024年7月6日)『脱法的な神宮外苑乱開発を止めようとしない小池都政の責任を問う』ゲスト:佐々木実氏(ジャーナリスト)司会:神保哲生、宮台真司【掲載ページ】https://www.videon...
06/07/2024

マル激トーク・オン・ディマンド 第1213回(2024年7月6日)
『脱法的な神宮外苑乱開発を止めようとしない小池都政の責任を問う』
ゲスト:佐々木実氏(ジャーナリスト)
司会:神保哲生、宮台真司

【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-talk/1213/

 ここまで問題だらけの乱開発が止まらないのが、不思議でならない。神宮外苑の再開発計画のことだ。

 明治神宮の外苑として第一号の風致地区に指定され、有名ないちょう並木などが都民の憩いの場として親しまれてきた神宮外苑を大幅に再開発し、神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替えるほか、景観を守るためにこれまで厳しい高さ制限がかけられてきたその地区に40階建てと38階建ての高層オフィスビルを新たに建設するという、超大型再開発プロジェクトが、今まさに始まろうとしている。この総工費3,400億円といわれる開発工事が本格化すると、神宮外苑一帯は2036年までフェンスに覆われたビル建設の工事現場となる。

 明日投開票が行われる都知事選でもこの神宮外苑の再開発は争点の1つにはなっている。しかし、このプロジェクトは読売新聞を始めとする複数のメディア企業が参加していることもあり、メディア報道は非常に限られていて、必ずしも選挙の大きな争点にはなっていない。

 しかし、この計画は多くの樹木を伐採することになる計画自体が自然環境や景観上の重大な問題を孕んでいることに加え、この手の大型プロジェクトが認可される上で求められている環境アセスメント法や都市計画法に則った様々な手続きが、多くのすり替えや誤魔化しによって事実上骨抜きにされている。そして、この計画はまた、今後日本の首都東京の開発がどのように行われ、この街が今後どのように変わっていくかを占う上でも、とても重要な意味を持っている。

 東京都の都市計画審議会が神宮外苑の再開発計画を認可したのは2022年2月だが、実際はそれより十年以上前から、外苑再開発の計画は水面下で動き始めていた。2020年の東京五輪の招致に成功し、国立競技場の建て替え案が浮上した時は、既に外苑の再開発計画の策定が始まっていた。本来は無理筋の計画を押し通すために、東京五輪が徹底的に利用された形だ。老朽化した国立競技場の建て替えが必要という理由で、風致地区や都市計画公園に指定されている地区の高さ制限が解除されたが、多くの日本人は「東京五輪のために国立競技場の建て替えが必要なのであれば、高さ制限の解除は仕方ない」と考えただろう。しかし、高さ制限の解除は最初から外苑の再開発を念頭に置いたものだったことが、その後明らかになっている。

 計画を認可する権限を持つ東京都の小池都知事は外苑再開発の認可について「法令に則って適切に行っている」といった説明を繰り返している。しかし、実際に認可のプロセスを具に検証すると、環境アセスメント法上も都市計画法上も、この計画は脱法的なやり方で推し進められてきたことは明らかだ。

 まず、環境アセスメントに重大な不備があったことが多くの専門家らによって指摘されている。ユネスコの日本国内の諮問機関である「日本イコモス国内委員会」は、評価書に必要な植生図がなかったり、樹木の分類に明らかな誤りがあったりするとして58項目の不備を指摘してきた。しかし小池都知事はイコモスの指摘を一顧だにせず、事業者が提出した評価書をそのまま承認してしまった。

 建築制限の緩和も脱法的だった。都は1970年、条例で外苑地区に15mの高さ制限を設けた。しかし2012年末に新国立競技場のザハ案がJSCのコンクールで最優秀賞に決定すると、そのおよそ半年後、東京都は最大80mまで高さ制限を緩和した。これに便乗して、JSCの本部ビルが高層ビルに建て替わったり、代々木にあった岸記念体育会館が移転するなど、既に多くの高層ビルが建てられている。しかし、それだけではまだ40階建ての高層ビルは建てられない。

 そこで都は2013年に、「公園まちづくり制度」というものを創設した。これは、公園区域に指定され厳しい建物制限がかけられている区域の中で、長期間公園として利用されてこなかった場所の公園指定を外すことで、高層ビル建設を含めた再開発が可能になるという制度だ。都はこの制度を利用し、外苑地区の一部の公園指定を解除して高層ビルを建てることを可能にしている。しかし、その制度を利用するに際し、秩父宮ラグビー場の周辺がラグビーの試合が行われていない平日などはカギがかかっていて普通の人が入れないという理由で、これを利用されていない「未供用区域」に指定し、無理矢理「公園まちづくり制度」の対象とするような脱法的なことを行っている。

 また、外苑の再開発には中央政界からの政治介入があったことも明らかになっている。共産党東京都議団の情報公開請求などにより明らかになった都の幹部と政治家との面談では、早くも2012年の段階で都の幹部と森喜朗元首相の間で外苑再開発が俎上に載せられていた。「五輪が招致できなかった場合はどうなるのか」と問う森元首相に対し、都の幹部は「それでも外苑の再開発はやる」と答えていることが公開された文書などで明らかになっている。

 更にこの再開発には東京都と工事の受注者である三井不動産の間の深刻な癒着や利益相反の存在も明らかになっている。特に東京都の幹部14人がその後、三井不動産に天下っていたことをしんぶん赤旗が報じ、大きな問題になっている。三井不動産は神宮外苑だけでなく、築地市場跡地の再開発や、東京五輪選手村(現・晴海フラッグ)の再開発、日比谷公園の再整備など東京都の大型再開発事業の工事主体となっている。また、三井不動産の岩沙弘道会長が神宮外苑の土地所有者である明治神宮の総代に就いていることから、土地所有者である明治神宮と工事受注業者である三井不動産、そして認可主体の東京都の三つ巴の癒着関係が疑われているのだ。

 この問題を取材してきたジャーナリストの佐々木実氏は、この計画を進めていく上では東京都知事の協力が不可欠だったことを改めて強調する。佐々木氏によると、当初この計画が持ち上がった時の都知事だった石原慎太郎氏は、外苑の再開発には否定的だったが、その後、東京都が五輪の招致に成功し、森喜朗元首相やその意を受けて東京都との交渉に当たった萩生田光一元文科相などが介入してくる中で、計画が強行されていったという。

 外苑再開発計画のどこに問題があり、いかにして五輪の名を借りながらこのような無理筋の計画が実行されていったのか、それを止めようとしない小池都知事の責任とは何か、このままでは東京はどのような街になってしまうのかなどについて、佐々木実氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

 また、番組の冒頭では、日米で先週と今週に相次いで出された3つの重大な司法判断を取り上げた。1つ目は黒川弘務元東京高検検事長の定年延長を巡る政府文書の情報公開訴訟で、「定年延長は黒川氏のために行われたものであることは明らか」と断じた大阪地裁の判決。2つ目は旧優生保護法を違憲とした上で、国の除斥期間の主張は「著しく正義と公平の理念に反する」とまで断じた最高裁判決。3つ目はトランプ元大統領の刑事裁判に関連し、米国史上初めて、大統領には公務における免責特権があることを認め、反対派の最高裁判事が少数意見の中で「この判決で大統領は法の上に君臨する王になった」とまで言わしめた米最高裁判決。この3つは歴史的にも大きな意味を持つもののため、その内容を解説した上で、その意義を同じく佐々木氏、神保、宮台が議論した。

【プロフィール】
佐々木 実 (ささき みのる)
ジャーナリスト
1966年大阪府生まれ。91年大阪大学経済学部卒業。同年、日本経済新聞社入社。東京本社経済部、名古屋支社を経て95年退社。同年より現職。著書に『宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて』、『竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』など。

宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

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ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。

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カテゴリー「神宮外苑再開発」  ここまで問題だらけの乱開発が止まらないのが、不思議でならない。神宮外苑の再開発計画のことだ。 明治神宮の外苑として第一号の風致地区に指定され、有名ないちょう並木などが都.....

マル激トーク・オン・ディマンド 第1212回(2024年6月29日)『間違いだらけの水害対策』ゲスト:谷誠氏(京都大学名誉教授)司会:神保哲生、宮台真司【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-ta...
29/06/2024

マル激トーク・オン・ディマンド 第1212回(2024年6月29日)
『間違いだらけの水害対策』
ゲスト:谷誠氏(京都大学名誉教授)
司会:神保哲生、宮台真司

【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-talk/1212/

 間違った水害対策が続く限り、水害はなくならないし、行政と住民の対立や住民間の対立もなくならない。

 折しも日本列島が梅雨前線の影響とみられる豪雨に襲われているが、最近では台風のシーズン以外でも、線状降水帯による豪雨がいたるところで発生し、日本中で河川の氾濫や土砂災害が毎年のように発生し、物的損害はもとより犠牲者まで出すようになっている。

 毎年大きな被害をもたらす水害に対して、河川管理者である国はどのような対策をとっているのか。

 これまで国の水害対策は、ダムや堤防による改良工事を基本としてきた。場所ごとに大雨の最大規模をこのくらいと定め、洪水の時にダムなどで調節した分を差し引いた川の流量である「計画高水流量」を定め、それを超えなければ被害は未然に防げるはず、という考え方だ。それを根拠に国は日本中の川という川にダムを作り、堤防をかさ上げしたり川の幅を広くするなど、夥しい数の土木工事を行ってきた。

 しかし、水文学の専門家で京都大学名誉教授の谷誠氏は、そもそも「計画高水流量」を決め、その範囲の流量までの水を貯めるために次々とダムや堤防ばかりを作る考え方が、根本的に間違っていると語る。自然を相手にしている以上、川に流れ込む水の量は人間の都合で決められるものではない。また、そこで予想した流量を超えてしまえば、既存のダムや堤防では水害を防げない。

 いわば恣意的に「計画高水流量」を決め、そこまでの流量を貯められるようにダムなどでキャパシティを増強する工事を何が何でも押し通すやり方は、役人の考え方ではやむを得ない面もある。水害が起きる恐れがある以上、これを放置することはできない。また自然が人間の予想を超えることがままあるからといって、対応を決めるためには何らかの想定は必要だ。

 しかし、谷氏はこの考え方が、住民を巻き込んだ治水や水害対策の構築を困難にしてきたと指摘する。役所は「水害対策」の名で自分たちが策定した計画をゴリ押しすることになるため、移住を強いられるなどして事業による影響を受ける住民と行政の間に深刻な対立が生まれる。また、住民の中にもその事業によって利益を得る人と損害を受ける人が出てくるため、住民間にも対立を生んでしまう。

 だが、行政としては強権的に事業計画を推し進め、反対運動を抑え込むためには、ダムや堤防などの効果を喧伝する必要が出てくる。事業を正当化するための理論武装が必要になるのだ。そこで使われるのが「計画高水流量」だ。これは「何百年に1度の大雨にも堪えられる」などと表現されることが多いが、それはあくまで理論上の話であり、実際には明日その水量を上回る雨が降ってもおかしくないという代物だ。

 また、いざ水害が起きると国は裁判で訴えられる。裁判で国が「水害は不可抗力だった」ことを裁判官に認めてもらうためには、国としてはまず想定された妥当な「計画高水流量」が存在し、その範囲であれば水害は防げる妥当な対策を取ってきたことを主張する必要がある。その想定を上回る雨が降ったのだから仕方がなかったということにするしかない。

 谷氏はそのような理由から続いている「計画高水流量」を前提とし、容量を増やすことで水害を防ごうとする「改良追求型」は限界に来ており、「維持回復型」の水害対策へ移行する必要があると言う。

 実際、国は2020年、新たな水害対策として「流域治水」を進めると発表した。これは水害対策に関わってきた国や県などの河川管理者だけでなく、川の周辺の企業や住民も協力し、流域全体で受け止められる雨の量を増やすという考え方で、改良追求からより維持回復に近い考え方だ。

 ただし、流域治水の具体例として川の上流で田んぼなどにあえて水を溢れさせる案などが検討されているが、これは上流を犠牲にすることで下流の水害を防ぐ考え方であり、問題だと谷氏は言う。強者の利益を守るために弱者を犠牲にする考え方につながり、新たな対立を生むことになるからだ。

 ダムについても、ダムは効果があるので必要だという意見と、環境保全の立場からできるだけダムを作らない方がよいという意見が対立している。双方の意見はどちらも妥当性があるので、意見をぶつけ合っているだけでは妥協点が見いだせない。このような二項対立図式から抜け出すには、われわれの水害に対する考え方を根本的に変えなければならないと谷氏は言う。まずは自然を相手にしている以上、水害を完全に根絶することはできないという事実を受け止め、少しでも被害を減らすために何を選択するかを河川管理者だけでなく流域の住民も含めて話し合うことが必要だと谷氏は言う。

 水害が頻発する昨今、日本は妥当な水害対策を取っているのか。また、日本の水害対策はどのような考えに基づいて行われているのか、改良追及型の水害対策にはどのような問題があるのかなどについて、京都大学名誉教授の谷誠氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

【プロフィール】
谷 誠 (たに まこと)
京都大学名誉教授
1950年大阪府生まれ。73年京都大学農学部卒業。80年京都大学大学院農学研究科林学専攻博士課程修了。農学博士。81年農林水産省林野庁林業試験場入省。林業試験場関西支場主任研究官、森林総合研究所森林環境部気象研究室長などを経て99年京都大学大学院農学研究科教授。2016年退職し名誉教授。著書に『矛盾の水害対策』、『水と土と森の科学』など。

宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

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 #ディスクロージャー 第21回(2024年6月28日)『 #国会 の  #情報公開 制度の不備が法案の本質的な議論を妨げている』 #三木由希子、 #神保哲生 https://bit.ly/4cXU03V  #ビデオニュース  #政治資金規...
28/06/2024

#ディスクロージャー 第21回(2024年6月28日)

『 #国会 の #情報公開 制度の不備が法案の本質的な議論を妨げている』

#三木由希子、 #神保哲生

https://bit.ly/4cXU03V

#ビデオニュース #政治資金規正法

カテゴリー「情報公開」  政治資金規正法の改正が6月23日に閉会した国会の目玉だったはずだが、結局裏金の温床となったさまざまな抜け穴はほぼ丸ごと温存されたまま終わってしまった。しかし、法案をめぐる議論が的.....

ディスクロージャー & ディスカバリー 第21回(2024年6月28日)『国会の情報公開制度の不備が法案の本質的な議論を妨げている』司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)【掲載ページ】 https:...
28/06/2024

ディスクロージャー & ディスカバリー 第21回(2024年6月28日)
『国会の情報公開制度の不備が法案の本質的な議論を妨げている』
司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)

【掲載ページ】 https://www.videonews.com/disclosure_discovery/21

 政治資金規正法の改正が6月23日に閉会した国会の目玉だったはずだが、結局裏金の温床となったさまざまな抜け穴はほぼ丸ごと温存されたまま終わってしまった。しかし、法案をめぐる議論が的外れになってしまう原因の一つに、国会の情報公開制度の不備があることは、ほとんど知られていないのではないか。

 今回の政治資金規正法の改正案を巡る論議でも、国会の内外を問わず的外れな議論が多かったが、それもそのはずで、実は実際に改正案の内容を確認した人がほとんどいないまま議論が進んでいたのだ。

 国会に提出された法律の改正案というのは、実は条文の形では書かれていない。衆議院・参議院のウェブサイトにそれぞれ改正案が公開されているが、「何条の何項にxxを足す」とか、「何条の何項の○○を削除する」といった形で現行法からの変更点が羅列してあるだけで、それだけ読んでも意味が分からないようになっている。改正された法案が最終的にどのような内容になるかは、各自が現行法に修正内容を独自に反映させることによってのみ確認が可能となる。

 今回は修正箇所だけでも膨大な量にのぼるため(A4紙に修正点を羅列しただけで20ページを超える)、実際に修正された法律の条文を作成するのはかなり手間のかかる作業になる。実際に改正された法律の条文を完成させる手間をかけた人はほとんどいなかったのではないか。また、仮に誰かそのようなものを作成したとしても、あくまでそれは私的なものであり、国会や法案提出者である自民党による公式な法案とはならない。つまり、最終的な修正法案が事実上存在せず、よってそれを見たことがある人がほとんどいない中で、的外れな法改正の議論が進むという、有り得ないことが起きていたのだ。

 問題はなぜこのような形になっているのか、だ。

 まず大前提として情報公開法は行政機関を対象にしたもののため、国会には適用されない。国会には情報公開法に代わる規定として「衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程」、「参議院事務局の保有する事務局文書の開示に関する事務取扱規程」なる取り決めが存在するが、あくまで内規であることに加え、何と立法に関係する文書が公開対象になっていない。実際に公開されているのは議員行政文書と呼ばれるもので、これは人事、予算、設備といった行政庶務に関して事務局職員が作成、入手したものを指している。つまり、いつ誰がどこで休暇を取ったかはわかるが、肝心の法案に関する文書や法案に関連した資料などは一切公開されていないのだ。

 法案が内閣が提出する閣法の場合は、管轄する省庁のウェブサイトに条文、理由、要綱、新旧対照表、参照条文の5点セットと呼ばれるものが公開され、法案の中身がある程度はわかるようになっているが、衆議院や参議院のウェブサイトにはこのうち条文と要綱しか公開されていない。今回の政治資金規正法の改正案は議員立法で、しかも法案提出者の自民党が5点セットを公開していなかったため、条文と要綱しか一般には公開されていなかった。これでは国民的な議論が盛り上がらないのは当然だ。

 ちなみに野党も政治資金規正法の改正案を提出しているが、例えば立憲民主党と国民民主党が共同で提出した改正案については、両党のウェブサイトに新旧対照表が公開されている。法案の中身を広く知られたくない自民党が情報公開をさぼり、国会の公開規定も明らかに不十分なために、政治資金規正法改正案の審議は誰もその実物を見ないまま、空疎な審議や議論が行われる結果となってしまったのだ。

 法律を制定したり改正したりする際には、法案の中身が十分に公開され国民に広く周知されて初めて、意味のある国民的議論が可能になることは論を俟たない。それを妨げている最大の原因は国会自体の情報公開に対する後ろ向きな姿勢にある。言うまでもないが、国会が作った法律が正当性を持つためには、国民の理解と支持が不可欠だ。「国権の最高機関」の称号に胡座をかかず、国会はせめて行政機関並の情報公開制度を自ら作ることが急務ではないか。

 情報公開法を作った国会が、最も情報公開に後ろ向きというブラックジョークのような現状は一刻も早く変えなければならない。今回は国会の法案に対する情報公開請求について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。

【プロフィール】
三木 由希子(みき ゆきこ)
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
1972年東京都生まれ。96年横浜市立大学卒業。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年NPO法人情報公開クリアリングハウスを設立し室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『社会の「見える化」をどう実現するか―福島第一原発事故を教訓に』、『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』など。

神保 哲生(じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

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(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

カテゴリー「情報公開」  政治資金規正法の改正が6月23日に閉会した国会の目玉だったはずだが、結局裏金の温床となったさまざまな抜け穴はほぼ丸ごと温存されたまま終わってしまった。しかし、法案をめぐる議論が的.....

【無料放送】プレスクラブ(2024年6月27日)『「残りの人生をこの裁判に懸けたい」KADOKAWAの角川歴彦元会長が人質司法で国を提訴』【掲載ページ】 https://www.videonews.com/press-club/202406...
27/06/2024

【無料放送】プレスクラブ(2024年6月27日)
『「残りの人生をこの裁判に懸けたい」
KADOKAWAの角川歴彦元会長が人質司法で国を提訴』

【掲載ページ】 https://www.videonews.com/press-club/20240627-kadokawa

 出版社KADOKAWAの角川歴彦元会長は6月27日、違法な勾留と取り調べをしたとして国に2億2,000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことを明らかにした。提訴後、角川氏は代理人弁護士らと日本外国特派員協会で会見した。

 角川氏は2022年9月、2020年東京五輪のスポンサー選定を担当していた電通の幹部に、自社に有利なスポンサー契約を結ぶ目的で賄賂を渡したとして逮捕され、10月に起訴された。角川氏は一貫して容疑を否認してきたが、逮捕の後、角川氏の勾留は起訴後も続き、2023年4月に5度目の保釈請求で保釈が認められた時、勾留期間は226日に及んでいた。

 勾留時79歳だった角川氏は拘置所の中で「もう命が限界だ」と感じた時があったという。また勾留中、いつかは裁判官が保釈を認めてくれるという期待が募ったが、4度の保釈請求はことごとく却下されたという。さらに検察官から、容疑を否認する限り生きて拘置所を出られないとまで言われたという。国賠訴訟で勾留中に違法に精神的及び身体的な苦痛を与えられたとしている角川氏は、その行為が日本国憲法と国際人道法に違反していると述べた。

 また、今回の国賠訴訟と並行して、角川氏は同日、日本の人質司法の違法性を国連人権理事会の恣意的拘禁ワーキンググループに通報したという。

 角川氏は「自分の人権を日本という国が守ってくれないので、この体験を国連に持っていくことにした」とし、国際人権法によって日本政府の姿勢が正されることを期待すると語った。また「自分の体験を普遍化し、日本の社会が変わっていくためのステップにしたいと考えるようになった」とも語った。

 角川氏の弁護団で主任代理人を務める元裁判官の村山浩昭弁護士は、「人質司法がいかに憲法が保障する人権を侵害し、国際的な人権条項に違反しているかをこの裁判で論証していく」とした。村山弁護士は2014年、袴田事件の再審と袴田氏釈放の決定を出したことで知られる。

 角川氏の弁護団には村山氏の他、弘中惇一郎、海渡雄一、喜田村洋一、伊藤真弁護士ら9人の弁護士が名を連ねている。

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27/06/2024

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マル激トーク・オン・ディマンド 第1211回(2024年6月22日)『空疎な「政治とカネ」論争の裏で国家100年の計に関わる重大な法律が次々と作られている』ゲスト:白鳥浩氏(法政大学大学院公共政策研究科教授)司会:神保哲生、宮台真司【掲載ペ...
22/06/2024

マル激トーク・オン・ディマンド 第1211回(2024年6月22日)
『空疎な「政治とカネ」論争の裏で国家100年の計に関わる重大な法律が次々と作られている』
ゲスト:白鳥浩氏(法政大学大学院公共政策研究科教授)
司会:神保哲生、宮台真司

【掲載ページ】https://www.videonews.com/marugeki-talk/1211/

 通常国会が6月23日に閉会する。

 この国会は自民党の裏金スキャンダルに端を発する政治改革、とりわけ政治資金を巡る論議に多大な時間とエネルギーが費やされ、メディア報道も自ずと政治とカネ問題に集中した。しかし、その裏では国家100年の計に関わると言っても過言ではない重要な法律が、さしたる審議も経ずに次々と成立していた。

 国民の生殺与奪に関わる意思決定を行う政治が国民の信頼を得ているかどうかは、民主主義の国にとっては死活問題ではある。しかし、その論議に目を奪われて、その間に国民の生殺与奪に関わる重大な意思決定がさしたる審議も経ずに次々と下されてしまうのは、まったくもって本末転倒だ。ましてや史上最低水準の支持しか得ていない政権に、そのような重大な決定を委ねて本当にいいのだろうか。

 悪法も法なり。法律ができてしまえば、それは善し悪しにかかわらず執行される。また、一旦作られてしまった法律や制度は一度走り出してしまえばそう簡単には変えられないものも多い。その意味で、今国会で可決したいくつかの重要法案は、できるだけ早くその危険性や問題点を十分に周知させ、修正が必要なものは速やかに修正する必要がある。

 今回のマル激では改正された政治資金規正法、経済安保情報保護法(セキュリティクリアランス法)、次期戦闘機条約、自衛隊統合作戦司令部設置法、農業基本法の改正と食料困難対策法、地方自治法と入管法の改正、共同親権を導入した民法の改正、日本版DBS法、NHKのネット業務を必須事業に引き上げる放送法の改正などを取り上げ、それぞれの法律の内容とその問題点、それがなぜ国民生活に大きな影響を及ぼし、日本という国の形を変えかねない重大な法律なのかなどについて白鳥浩・法政大学大学院公共政策研究科教授とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

 また、裏金問題で複数の逮捕者まで出す一大政治スキャンダルに塗れながら、事実上ゼロ回答となる政治資金規正法の改正案しか通せない岸田政権と自民党の限界や政治資金以外の重大法案を争点化できない野党の問題意識の低さ、国の形が変わろうとしているにもかかわらず旧態依然たる政治報道を続けているメディアの体たらくについても、厳しく検証した。

 更に、6月20日に告示された東京都知事選について、明らかな売名を目的とした候補者が乱立している問題や、1期目と2期目の間の小池知事の180度の変節と経歴詐称問題との関係などについても議論した。

【プロフィール】
白鳥 浩 (しらとり ひろし)
法政大学大学院公共政策研究科教授
1968年東京都生まれ。91年早稲田大学政治経済学部卒業。博士(政治学)。静岡大学人文学部助教授、英オックスフォード大学客員フェローなどを経て2007年より現職。21年よりYahoo!ニュース公式コメンテーター。日本政治法律学会理事長。著書に『都市対地方の日本政治』、『現代欧州統合の構造』など。

宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

【ビデオニュース・ドットコムについて】
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

カテゴリー「政治」「政治とカネ」  通常国会が6月23日に閉会する。 この国会は自民党の裏金スキャンダルに端を発する政治改革、とりわけ政治資金を巡る論議に多大な時間とエネルギーが費やされ、メディア報道も自.....

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Shinagawa-ku, Tokyo
141-0021

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