21/04/2025
“Fake Plastic Apples”
Yohta Matsuoka Solo Exhibition
このたびHIDDEN CHAMPIONは、松岡洋太による個展「Fake Plastic Apples」をALPHA CONTEMPORARYにて開催いたします。
松岡洋太は、かつて「JONJON GREEN」名義で活動し、80年代のデザイン集団「メンフィス」に影響を受けた鮮やかな抽象表現を、壁画やライブペイントで展開していました。
その後、パンデミックを機に松岡はアトリエ制作に注力し、巨大な壁画からキャンバスへと自身の内面を探求し始めます。当初はモノクロを基調に、球体や棒など根源的なモチーフを配した静物画「Before Dawn」シリーズを発表し、注目を集めました。
現在、松岡は「静物画」という古典的形式の再解釈と拡張を探求しています。リンゴやバナナといったモチーフに新たな意味を与え、その配置によって生まれる関係性や認識の変化を考察。さらに、写実的な描写とデフォルメされた表現を同一画面に共存させるといった実験的な試みを通して、静物画の可能性を押し広げています。
これらの作品は、モチーフ同士の関係性や表現の対比から「視覚的な認識の揺らぎ」を生み出し、私たちが日常で当たり前としている「ものの見方」に静かに問いを投げかけます。
本展では、モノクローム作品から色彩を取り戻した最新作までを展示し、松岡洋太の制作と思考の変遷をご覧いただけます。情報化が進む現代において、アナログな絵画、とりわけ静物画を通して認識のあり方を問い直す作家の試みを、ぜひご高覧ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
今回の展示に合わせ、松岡洋太のインタビューをWEBで公開していますので、そちらも合わせてご覧ください。
“Fake Plastic Apples”
松岡洋太 個展
会場:ALPHA CONTEMPORARY
住所:東京都港区三田2-13-9 三田東門ビル8F
会期:4月25日(金) – 5月14日(水)
時間:12:00 - 18:00
*Opening Reception:4月25日(金) 18:00~20:00
*日・月・祝日休廊。火曜のみ予約制で、前日18時までにメールにて予約可能です。
https://www.alpha-contemporary.com/ja
アーティスト・ステートメント
本展は、静物画という伝統的なフォーマットを出発点としながら、視覚的認識の揺らぎと物質の意味生成の過程を問い直す試みです。
花瓶は単なる容器ではなく、顔の一部としても知覚され、その物への認識が実は流動的であるよう促し、あるいは意図的に宙に浮くりんごを描くことで、「静物」の時間軸を解き放ちます。
「投げられたのか、それとも落下しているのか」
こうした視覚の撹乱は、現代社会における情報の即時的な消費や意味の固定化に対するカウンターとしても機能し、AIによる画像生成やフェイクニュースが氾濫する時代において、不確かな情報に対して疑問を呈します。
私たちの目の前にあるものは本当に「実在」しているのか?
そしてあなたがみているりんごは本当にりんごなのだろうか?と。
静物画の静けさの中に潜む運動。
固定されたイメージの裂け目から立ち上がる新たな意味と解釈。
その瞬間、私たちの知覚は、再び開かれるような気がするのです。
ー松岡洋太 / Yohta Matsuoka
松岡洋太 / Yohta Matsuoka
1978年、群馬県高崎市出身。多摩美術大学卒業。2004年より日本のストリートカルチャーシーンの中で「JONJON GREEN」名義でライブペイントを主として制作活動を始める。80年代のイタリアを中心に生まれた色鮮やかで刺激的なデザイン集団「メンフィス」に大きな影響を受けたことから、パターンで構成するダイナミックかつ自由度の高い抽象表現を壁画に応用し国内外に数々の大型作品を残す。2021年より、原初的な感覚でモノクロの画面に球体や棒などのシンプルなオブジェクトを配置する静物画の作品制作を開始。本名である「Yohta Matsuoka / 松岡洋太」名義にて個展『Before Dawn(夜明け前)/ SORTone, Tokyo, 2022』を開催し国内外から注目を集め、イギリスで個展『Before Dawn / MOOSEY, Norwich, 2023』を開催した。オブジェクト同士の偶発的な関係性によって得られるシミュラクラ現象を通して、物体が持つ本来の姿とは違うユーモアを創造することを考察している。