海と月社

海と月社 働く人の力になる、海外の優れた書籍を翻訳出版
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《新刊のご案内》次の新刊のカバーが出来上がりました。日本でも海外でも、女性の尊厳をないがしろにする発言や行為があとを絶たないばかりか、むしろエスカレートするなかで、イギリスでは積もり積もった鬱憤を晴らすエンタメ小説が売れています。現実社会で...
13/11/2024

《新刊のご案内》
次の新刊のカバーが出来上がりました。

日本でも海外でも、女性の尊厳をないがしろにする発言や行為があとを絶たないばかりか、むしろエスカレートするなかで、イギリスでは積もり積もった鬱憤を晴らすエンタメ小説が売れています。

現実社会では泣き寝入りさせられても、フィクションではそうはさせません。

日本の半分ほどの人口のイギリスで、15万部を超えてなお読まれつづけているその本を、日本の皆さまにお届けします。

『男を殺して逃げ切る方法』(原題:How to Kill Men and Get Away With It)ケイティ・ブレント著、坂本あおい訳

かの地の女性の怒りや悲しみ、そしてユーモアがぎゅっと詰まった一冊です。

全国の書店には今月末ごろから並びます。
只今予約受付中。

本が出来上がったらまた改めてご案内しますが、まずはいつもこのアカウントを見てくださっている方々へ。

どうぞよろしくお願いします。

#男を殺して逃げ切る方法

《冤罪などない社会に》日ごとに秋が深まり、今年も残り少ないのを実感しています。だから一日一日を大事に。できるだけ愉しく。そう思うのですが、大きな災害が起こっても国がいっこうに助けてくれないとか、ガザで目を覆うような虐殺が続いているのに止めら...
05/11/2024

《冤罪などない社会に》
日ごとに秋が深まり、今年も残り少ないのを実感しています。
だから一日一日を大事に。できるだけ愉しく。
そう思うのですが、大きな災害が起こっても国がいっこうに助けてくれないとか、ガザで目を覆うような虐殺が続いているのに止められないとか、政権をになっている党の政治家が犯罪を犯しても罰せられないとか、男性に甘く女性に厳しい判決ばかり出るとか、今年は年初からずっとしんどいニュースが続いています。

そんななか、唯一輝いていたニュースといえば、やはりこれ、袴田巌さんの無罪確定でした。

🌱
殺人事件の容疑者として袴田巌さんが捕まったのが1966年。無罪を主張するも死刑判決が下ります。
冤罪だとされながら死刑が執行された方が実際にいるのですから、袴田さんの失意と恐怖はいかばかりだったでしょう。
監獄で絶望の日々を過ごすなか、ついには拘禁反応が出てしまいます。
こうした経過は広く知られているので、心を痛めてこられた方も多いと思います。

ただ不幸の中にも光はあり、袴田さんには、ひで子さんという素晴らしいお姉さまがおられました。この方が文字どおり人生をかけて闘いつづけたことで、ついに無罪を勝ち取ることができたのです。
巌さんの身の潔白が証明され、自由の身になられたことは本当に素晴らしく、感動的です。
ニュースを見たときは嬉しくて胸がいっぱいになりました。

でも、袴田さんの58年はもう取り戻せない。
あまりに残酷な現実です。

🌱
こんなことは絶対にあってはならないーーアメリカで、そのことをどうしても訴えたくて、冤罪の当事者として自らの数奇な運命を著した人がいます。アンソニー・レイ・ヒントンさんです。海と月社では2019年に、その本『奇妙な死刑囚』を翻訳刊行しました。

ヒントンさんが無実の罪でとらえられたのは1985年。
それから30年後の2015年に無罪として自由になるまでの自分の身に起きたこと、そしてまた獄中の仲間の身に起きたことが、この本には克明に記されています。

ヒントンさんは獄中にあっても決して諦めませんでした。ご本人の強さは言うまでもありませんが、袴田さんにとってのひで子さんのように、ヒントンさんにも幼なじみのレスターさんや、人権弁護士のスティーヴンソンさんといった「揺るぎない愛や信念で支えてくれる人」がいたからでもあるでしょう。

大半の人はこんなふうに頑張れるものではありません。運だってある。

冤罪は、まだなくなっていません。
今なお、獄中にある人がいます。

#奇妙な死刑囚

《本は友だち》夏の暑い時期にあれこれが重なって、気づけば本が(気持ち的に)読めなくなっていました。でもここにきて、ようやくまた普通に楽しめるようになりました。そのきっかけを与えてくれたのは、小川洋子さんの新刊『耳に棲むもの』です。不思議がい...
14/10/2024

《本は友だち》
夏の暑い時期にあれこれが重なって、気づけば本が(気持ち的に)読めなくなっていました
。でもここにきて、ようやくまた普通に楽しめるようになりました。

そのきっかけを与えてくれたのは、小川洋子さんの新刊『耳に棲むもの』です。
不思議がいっぱいなのに、違和感なくするすると物語に浸かって安心できるーー今回も「小川洋子さんの本」として期待するものを少しも裏切らず、嬉しかったです。
造本も隅から隅まで素敵で、癒されました。

そこへさらにハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞のニュースです。
これはすごい、と思いながら、読めないで積み上がる一方だった本の山から、いそいそと『別れを告げない』(斎藤真理子訳)を出してきました。これも、読みかけたままだったのです。
まだあと数冊は、リハビリモードで柔らかめの本を読むつもりですが、そのあとはこちらを読もうと思います。

読書のひとときはかけがえのないものだからこそ、無理はせず「好きなときに、好きなものを、好きなだけ」読むのを大切にしています。するとたいてい、そのときどきの自分にぴったりの本が、どこからともなくやってくるのですが、考えてみれば不思議です。

𓍼 𓍼

FB投稿もすっかり間があいてしまいました。こちらも徐々に従来のペースを取り戻していきたいです。

《燃えだしました🔥》こちらの『書いたら燃やせ』、先日お伝えした朝日新聞の記事前後から、売れ行きに大きな弾みがついてきました。それ自体は大変ありがたいことですが、私たちの読みの甘さから、たちまち品切れとなり、明日、重版が出来るのですが、それも...
17/09/2024

《燃えだしました🔥》
こちらの『書いたら燃やせ』、先日お伝えした朝日新聞の記事前後から、売れ行きに大きな弾みがついてきました。

それ自体は大変ありがたいことですが、私たちの読みの甘さから、たちまち品切れとなり、明日、重版が出来るのですが、それもほぼすべて即出荷に。いまご注文いただいている書店さまには、さらに次の重版出来(24日)分からの出荷でご了承いただいております。
恐れ入りますが、少々お待ちください。

発売直後から口コミでとんとんと広がり、「火がついた」などと思っていましたが、その勢いがどんどん大きくなり、とうとう「燃えて」きました。

皆さまのおかげです。
ありがとうございます。

*今日は中秋の名月でしたね。一駅前で降りて、煌々と輝く月の下をのんびり歩いて帰りましたら、心が洗われるようでした。

🌕

#書いたら燃やせ

《「売れてる本」に登場》本日(9/7)、朝日新聞の読書欄「売れてる本」に、弊社の『書いたら燃やせ』が登場しました。2月に発売以来、毎月のように重版し、その勢いは落ち着くどころかむしろ増しています。とはいえ、まだ1万4500部ほどですので「こ...
07/09/2024

《「売れてる本」に登場》
本日(9/7)、朝日新聞の読書欄「売れてる本」に、弊社の『書いたら燃やせ』が登場しました。
2月に発売以来、毎月のように重版し、その勢いは落ち着くどころかむしろ増しています。とはいえ、まだ1万4500部ほどですので「この欄で紹介したい」とご連絡をいただいたときには、正直驚きました。
それが今日、掲載となったのです。

硬軟さまざまな質問に「正直に」答えていくこの本について語ってくださったのは、コラムニストの辛酸なめ子さんでした。
以下、印象に残った部分をいくつか抜粋してみます。

      ーーー💐ーーー

「未来はこうなっていてほしい」「死ぬまでにしたいこと」という正統派の質問から「誰にも見られていないときにすること」「わたしのいちばん暗い秘密」といった答えにくい項目も。
・・・・・
どこまで自分に正直になれるか試されます。「もっと報われてもいいと思う人は?」という質問には、つい「自分」と、本音を記入。秘密を打ち明けるうちに、本に情が移って、燃やすなんてできなくなります。
・・・・・
SNSに映え写真を投稿し、自分を盛るうちに、本当の自分を見失いかけている人も多いのでしょう。また、人に言えない過去など、今の時代、SNSに書いたら炎上してしまいます。
この本には、自分をいくらでもさらけ出せて、炎上することもなく、自分で燃やすかどうか決められます。
スマホやPCの入力が主流で、文字を書く行為自体久しぶりという人もいるでしょう。手書きは脳の活性化にもつながります。
とにかく現代人が失いかけているものがこの本には詰まっているのです。
そして、誰もが一冊の本の主人公であるという自信が、SNSを見て下がってしまった自己肯定感を蘇らせてくれるのでしょう。

      ーーー💐ーーー

さて、「もっと報われてもいいと思う人は?」に、皆さまだったらどう答えますか?

#書いたら燃やせ

《先行販売中》弊社最新刊、オーウェン・ジョーンズ著『少数ではなく多数のために:イギリス左派、理想への挑戦の軌跡』(依田卓巳訳)、以下の書店様では先行販売が始まっています。・代官山 蔦屋書店・八重洲ブックセンター阿佐ヶ谷店ここのところ、与野党...
03/09/2024

《先行販売中》
弊社最新刊、オーウェン・ジョーンズ著『少数ではなく多数のために:イギリス左派、理想への挑戦の軌跡』(依田卓巳訳)、以下の書店様では先行販売が始まっています。

・代官山 蔦屋書店
・八重洲ブックセンター阿佐ヶ谷店

ここのところ、与野党の党首選に関するさまざまなニュースや記事を目にしますが、本書の実録ドラマも、イギリス労働党の党首選がスタートです。
意外な人物ジェレミー・コービンが立候補し、必要な推薦人20人が集まらないだろうと言われていたのに、締め切り数時間前に20人目が決まり、ついにはよもやの当選を果たすのです。

イギリスも日本と同じように、何年も続く緊縮財政でかつてないほど苦しい生活を強いられる人が増え、とくに若い世代の絶望感が広がっています。
そんな中で、野党である労働党の政治家たちは何を目指し、何をしたのか?

両親とも労働党の闘志で、自分も10代で入党し、以来ずっと労働党を支持してきた著者が、この本では敢えて党の失敗や過ちも隠さず描いています。
それらをごまかさないで直視することで前進できる、という思いからです。

日本でも、まるで与党のような「国民そっちのけ」の方針を出してくる野党、あるいはなんのために野党に属しているのかわからない議員が増えています。どうして国民生活の向上に沿った政策を打ち出し、突き進んでくれないのかと思うのですが、この本を読んでいると、日頃のさまざまな疑問が氷解していきます。

率直に言って、誰もが読んで楽しめる本ではありません。けれども、今の社会を変えたいと切に望んでいる方、政権交代の必要を強く感じている方には、ハッとすることしばしばのパンチある一冊だと思います。

#少数ではなく多数のために

《この本たちが》少し前、「ニューヨークタイムスが選ぶ21世紀のベスト100」が発表され、その中に、海と月社から邦訳を出しているものが2点入っていました。https://www.nytimes.com/interactive/2024/boo...
28/08/2024

《この本たちが》
少し前、「ニューヨークタイムスが選ぶ21世紀のベスト100」が発表され、その中に、海と月社から邦訳を出しているものが2点入っていました。

https://www.nytimes.com/interactive/2024/books/best-books-21st-century.html

ひとつは『「ちがい」がある子とその親の物語』(全3巻)(原題FAR FROM THE TREE)
、そしてもう一冊は『家を失う人々:最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録』(原題EVICTED)です。

ともに、社会のマイノリティに焦点を当てているところが共通しています。
また、丹念に古今の文献にあたるとともに、膨大な調査、取材を重ねているところも同じです。
さらに、それでいてお堅い研究書とは趣を異にし、多くのページがむしろ小説を思わせるストーリーで彩られている点も重なっています。

どちらの著者も、「これは多くの人に伝えなければならない」という確固とした熱意のもと、多大な時間とエネルギーを費やしているからこそ、21世紀を代表する本して選ばれたのだと思います。
そうした本の邦訳を手がけ、皆さまにお届けできて、私たちもとても嬉しいですし、やっぱり少し誇らしいです。

#ちがいがある子とその親の物語 #家を失う人々

《次の新刊は》海と月社の次の新刊は、前回ポストでもご紹介した『チャヴ:弱者を敵視する社会』の著者オーウェン・ジョーンズによる『少数ではなく多数のために:イギリス左派、理想への挑戦の軌跡(依田卓巳訳)です。このたびカバーが出来上がりました。こ...
19/08/2024

《次の新刊は》
海と月社の次の新刊は、前回ポストでもご紹介した『チャヴ:弱者を敵視する社会』の著者オーウェン・ジョーンズによる『少数ではなく多数のために:イギリス左派、理想への挑戦の軌跡(依田卓巳訳)です。
このたびカバーが出来上がりました。

この本は、2015年から2020年まで約5年間のイギリス政治、とくに左派の政治に焦点を当てています。
すべての始まりは、権力争いに一切無縁だった労働党一般党員ジェレミー・コービンが、予想外の党首となったことでした。
若い頃から一貫して差別や不平等と闘ってきたコービンは、これまでの党首とは一味も二味も違いました。それを国民は敏感に察知し〝コービンブーム〟が巻き起こります。
にもかかわらず、労働党は保守党から政権を奪うことができませんでした。
なぜなのか? 何があったのか?
その真相を、さまざまな主義主張のさまざまな階層の人に取材し、明らかにしたのが本書です。

日本でも、支持率は悲惨な数字なのに、いまだ政権交代は実現していません。
著者のジョーンズ氏は、「市民のための政治」「一部の人だけが得をするのではなく、多数の人が安心して暮らせる政治」を実現させるために、この本では敢えて、野党側の失策や醜い一面も、教訓として隠さず書いています。
そして、与党も野党も、「いま行われているのは誰のための政治なのか」と訴えます。
それはそのまま、多くの日本人の想いとも呼応するのではないでしょうか。

本が出来たらまたご案内させていただきます。
ただいま予約受付中。
全国の書店店頭には9月初めごろから並びます。

#少数ではなく多数のために

《夏に読みたい本》久しぶりのポストになってしまったので、だいぶ前のことになりますが、7月20日の朝日新聞読書欄「書評委員19人の『夏に読みたい3点』」で、ノンフィクションライターの安田浩一さんが、弊社のロングセラー『チャヴ:弱者を敵視する社...
15/08/2024

《夏に読みたい本》
久しぶりのポストになってしまったので、だいぶ前のことになりますが、7月20日の朝日新聞読書欄「書評委員19人の『夏に読みたい3点』」で、ノンフィクションライターの安田浩一さんが、弊社のロングセラー『チャヴ:弱者を敵視する社会』(オーウェン・ジョーンズ著、依田卓巳訳)を挙げてくださいました。
安田さんが挙げておられたあと2冊は、『強制不妊、旧優生保護法を問う』(毎日新聞取材班著/毎日新聞出版)と『ウトロ ここで生き、ここで死ぬ』(中村一成/三一書房)。すっと線の通った選書です。

『チャヴ』についてはこう書かれていました。

ーーーー

「チャヴ」とは、英国社会における労働者階級への侮蔑呼称だ。経済弱者は差別と偏見によって排除されていく。新自由主義と自己責任社会の危うさを告発する。

ーーーー

弊社がこの邦訳を刊行したのは2017年。
ここに描かれているイギリス社会の悲惨な現実や問題点の多くが、日本にも通じると感じてのことでしたが、あれから7年経った今、残念ながら社会の不平等や不正義は、正されるどころかさらに広がっています。
こんなことが許されてはならない、と思う方にはぜひ一度読んでいただきたい一冊です。

なお、安田浩一さんの新刊『地震と虐殺1923-2024』(中央公論新社)も、事件の現場を隈なく歩き、関係者を丹念に取材し、資料を調べあげた素晴らしい本です。昨今では、裏付けもないまま適当に書かれた本が少なくないなか、久しぶりに「これぞノンフィクション」と思った秀作です。今年のノンフィクションの賞は、本書が総なめするかもしれません。

#チャヴ

《書評のお知らせ》7/13付、日本経済新聞書評欄で『そして、「悪魔」が語りだす:司法精神科医が出会った狂気と共感の物語』(グウェン・アズヘッド、アイリーン・ホーン 著/宮﨑真紀 訳)が紹介されました。評者は映画監督で、受刑者の更生の様子を追...
14/07/2024

《書評のお知らせ》
7/13付、日本経済新聞書評欄で『そして、「悪魔」が語りだす:司法精神科医が出会った狂気と共感の物語』(グウェン・アズヘッド、アイリーン・ホーン 著/宮﨑真紀 訳)が紹介されました。

評者は映画監督で、受刑者の更生の様子を追ったノンフィクション『プリズン・サークル』の著者、坂上香さんです。
ご自身が深く受刑者と関わってこられた方に評していただき、大変ありがたいです。どのことばにも通りいっぺんでない、実感がこもっているのを感じましたが、とくに印象的だった文章を以下に抜粋します。

     ーーーーーーー

 私は、国内の刑務所で唯一対話を重視したプログラムを撮影したことがある。怖いと感じたのは受刑者ではなく、塀の外の人々だった。受刑者の多くは虐待の被害者でもあったが、彼らの加害者は、人知れず、問われず、罪の意識もなく、普通に生活している。
 人は語れないからこそ、自分の人生も、罪に対する責任も引き受けられずに悪事を繰り返す。同時に、語ることが容易でも万能でもないことは、本書が示す通りだ。
 鍵は、自分の内に潜む「悪魔」と出会えるかどうか。決して患者だけの問題ではない。

     ーーーーーーー

また、坂上さんは、本書に登場する11人の犯罪者の中で、最も注意を引いたのは最終章のデヴィッドだと言っておられます。
「不眠の相談で訪れる開業医だ。『家族思いの父』を装い、理想的な幼少期を主張する。著者を愚弄し、威圧的で皮肉屋。肝心の質問には口ごもり「私には言えない」と逃避する。
やがて趣味(違法小児ポルノサイトへのアクセス)を明かす。そこに至るやりとり、著者が公的機関に通報する過程や著者の心の声は、日常に潜む暴力を思わせた。」

ちなみに私の心に最も強く刻み込まれたのは、リディアでした。犯した罪はストーキング。彼女の言動にゾクッとさせられるとともに、ストーカーの心理や手口は万国共通だと気付かされました。
例えばこんな一節も。
「しかしこの数十年、研究者たちは、ストーキング行為にはもっとさまざまな種類があることを明らかにしてきた。ストーカーの中には法に触れないように、たとえば親権を争う裁判を起こして、元パートナーに圧力をかけて脅すというような戦法をとる者もいる。」
日本でも反対の声がとても多い共同親権法はやはり危険だ、ということがわかります。

そのほかの章でも、「犯罪」というものに潜むさまざまな、それでいて普遍的な人間心理が見事に描かれていきます。

この夏、何か忘れ得ぬ読書をしたいと思っている方がいらしたら、この本のことも思い出してくださるといいなと思います。

#そして悪魔が語りだす

《直感を大事に》このたび『書いたら燃やせ』の4刷が出来上がりました。「面白そうだから大きく展開してみます」と言ってくださる書店様が、発売直後から現在までの間にじわじわ増え、今では全国的な広がりになっています。たちまち4刷になったのも、幾人も...
01/07/2024

《直感を大事に》
このたび『書いたら燃やせ』の4刷が出来上がりました。
「面白そうだから大きく展開してみます」と言ってくださる書店様が、発売直後から現在までの間にじわじわ増え、今では全国的な広がりになっています。
たちまち4刷になったのも、幾人もの書店員さんがプロの直感でこの本に注目し、推してくださったおかげです。
そしてもちろん、同じく直感で「面白そう」「やってみよう」と思ってくださった読者の皆さまのおかげです。

じつはこの本自体が、自分の直感を信じようと繰り返し言っています。最初から順番に質問に答えるのではなく「ぱっと開いて出てきた質問に答えてみよう」とか「考え込まないで頭に浮かんだままを書いてみて」といったフレーズもよく出てきます。
その根底にあるのは、「もっと自分を信じていいのだ!」というメッセージです。

でも考えてみると、現代人は、そもそも自分をみつめる時間がなかなかありません。
ためしに、ここで振り返ってみてください。

🕰️1日のうちで、自分が好きなように使える時間はどれくらいありますか?

🕰️ひとりで自分と向き合う時間は1日にどれくらい?

🕰️ふだん「問われたことをじっくり考えて、だれにも遠慮することなく正直に答える機会」はありますか?

📍
毎日すべきことをするだけでくだびれてしまう……。『書いたら燃やせ』は、そんな生活の中から自分を取り戻す、ささやかな試みでもあります。

#書いたら燃やせ

《綴葉》京都大学生協の「綴葉(ていよう)」という書評誌をご存知ですか? 例によって知らないことだらけの私たちは、その最新号で『家を失う人々:最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録』が紹介されているのをSNSで見て、初めて知りました。それ...
25/06/2024

《綴葉》
京都大学生協の「綴葉(ていよう)」という書評誌をご存知ですか? 例によって知らないことだらけの私たちは、その最新号で『家を失う人々:最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録』が紹介されているのをSNSで見て、初めて知りました。
それがちょうど関西に出向いていたときだったので、勇んで京大生協まで行って、現物をもらってきました。
「たいやき」という、たいそう美味しそうなペンネームの方による評はとても丁寧で、真摯でした。ここに一部を抜粋してみます。

「二〇〇八年一月、記録的降雪にみまわれたミルウォーキーの住宅街、ある家のチャイムが鳴るーーそれは強制退去を執行する保安官だった。追い出された母と子は、家具が玄関先の歩道に並べられていくのを、ただ立ち尽くして眺めることしかできなかった。
 本書はアメリカにおける強制退去の問題を扱うノンフィクションである。アメリカでは借家に住む低所得者層の大半が月収の半分を家賃に支払っており、家賃滞納を理由に毎年数百万人もの人々が家から追い出されている。」

「なぜこうも強制退去は生じてしまうのか? それは単なる貧困の帰結ではない。……家主は貧困地域で物件を買い漁り、割高で貸しつける。沸納したらすぐ強制退去させ、次の借家人をみつけるという『貧困ビジネス』がまかり通っているのだ。
 強制退去は家財の喪失や強いストレスにより人々を悪循環に引き込む。つまり『強制退去のせいで貧困になる』と著者は強く指摘する」

「淡々とした筆致でただひたすらに厳しい現実を浴びせ続け、読者の心を掴む」


たいやきさんのおっしゃる通り、一緒に生活したからこそわかる厳しい現実を丁寧に綴った本書は、読者の心を掴みます。また、そんな厳しいなかでも、登場人物たちがときに見せる人間らしさ(思いやりや逞しさ)も描かれていて、そこにも胸を打たれ、希望が湧いてきます--持てる者が持たざる者を食い物にする世の中は変えなければいけないし、変えることができるはずだ、と。

𓅫 𓅫

7月7日には東京都知事選挙があります。
期日前投票はもう始まっています。
残念ながら、東京はこの8年間、小池都知事のもとで大企業優先策がとられ続けました。
その一方、路頭に迷っている人や日々の暮らしに困っている人への支援は置き去りでした。
一見煌びやかな東京ですが、貧困に喘いでいる人が大勢います。このままでは東京でも、家を失う人が増え続けるでしょう。

今回は、都民以外の人も大勢が注目して声を挙げています。
東京都民の皆さま、どうぞ投票をお忘れなく。
私たちも投票します。
弱者を差別しつづけている小池知事にNOと言うために。

#家を失う人々

《励まされる本》6月8日の西日本新聞書評欄で、『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』をご紹介いただきました。著者レシュマさんがどんな生い立ちを経て、どう考え、何を始めたか、またこの本の魅力について、歌人の松村由利子さんが熱く綴ってくださ...
18/06/2024

《励まされる本》
6月8日の西日本新聞書評欄で、『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』をご紹介いただきました。

著者レシュマさんがどんな生い立ちを経て、どう考え、何を始めたか、またこの本の魅力について、歌人の松村由利子さんが熱く綴ってくださっているのを読んでいると、本書を通じて勇気のバトンが繋がっていく気がしてきて、大変嬉しくなりました。

🎀

誰かの言葉で励まされ、自分の中の勇気の芽が膨らんでくるのは素晴らしい体験です。
悔いのない人生を送るのに大事なものはなんですか? と聞かれたら、私なら「勇気」と答えます。でも、まだまだなので、勇気ある人、とくに勇気ある女性の本を読んで鼓舞されるのが大好きです。
例えばここ1年でなら、『化学の授業をはじめます。』(ボニー・ガルマス著、鈴木美朋友訳/文藝春秋)と『家なき人のとなりで見る社会』(小林美穂子著/岩波書店)に、最も力強くて美しい勇気をもらいました。

『化学の授業をはじめます』は、言わずと知れた世界的大ベストセラー小説。化学者である主人公エリザベス・ゾットが、あらゆるところにはびこる男女差別に行く手を阻まれ続けます。でも、エリザベスは決してなびかない。そのせいで一度ならずとんだ災難にもあうのですが…。待ち受けているのはハッピーエンドです。
女性なら誰でも身に覚えのあることだらけ。一緒に泣いたり笑ったり怒り狂ったりしているうちに、分厚いのに一気に読んでしまいます。

一方『家なき人のとなりで見る社会』は日本が舞台。長く困窮者の救援活動をなさっている小林美穂子さんが、その活動の日々を飾らず率直に、ときにユーモアも交えながら綴ったエッセイです。
日本はいまや世界一税金が高い国だというのに、集めた税金は上の方の人があの手この手でがっぽりくすねてしまい、肝心の福祉予算は削られる一方です。
賃金も抑えられたままですから、当然、ホームレスになる人もたくさんいます。
小林さんは、そうした人たちをずっと支え続けています。読んでいるだけでへとへとになるほどで、とてもじゃないけど真似できない。そんな我が身のいたらなさを痛感して一瞬しょげもするのですが、それ以上に、私も自分にできることを考え、続けていこう! と力が湧いてきます。

🎀

『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』も『化学の授業をはじめます』も『家なき人のとなりで見る社会』も、テーマはシビアなのにわかりやすいし、なにより湿っぽくない。本物の知性と潔さが光っています。

みなさんにもきっと、読んで勇気をもらった本がおありでしょう。これからも、パワーアップする本とたくさん出会いたいですね。

#完璧じゃなくていい勇気ある女になろう #化学の授業をはじめます #家なき人のとなりで見る社会

《父の日は?》今週末は父の日ですね。母の日にはカーネーションを贈る習慣がありますが、父の日はそういうものがないし、全体的に地味な気がします。子どもにとってはやはり、(良くも悪くも)母親のほうが特別な存在だからでしょうか。ஐ ஐ 母の日の前に...
13/06/2024

《父の日は?》
今週末は父の日ですね。
母の日にはカーネーションを贈る習慣がありますが、父の日はそういうものがないし、全体的に地味な気がします。
子どもにとってはやはり、(良くも悪くも)母親のほうが特別な存在だからでしょうか。

ஐ ஐ

母の日の前には『My Mom 私のおかあさんの物語』をご紹介したので、本日は『My Dad 私のおとうさんの物語』をご案内します。

この本は、ページをめくるごとに、幼い頃のこと、思春期の頃のこと、働き始めた頃のこと、そして妻と出会った時のことや結婚した頃のこと、さらにはあなたが生まれた頃、父としての年月を重ねた頃のこと……と、おとうさんの人生の時系列順に、小さな質問が現れます。

これをおとうさんにプレゼントして、好きなときに、好きな質問に、好きなだけ答えてもらえば、おとうさんにとっても、子ども(あるいは孫)にとっても、かけがえのない小さな一冊ができあがるーーという趣向です。

ஐ ஐ

誰でも、親の人生で知らないことはたくさんあるものですが、父親のことはとくにあまりわかっていない人が多いのではないでしょうか。
父親との関係が良好な方はもちろんですが、そうでない方にこそ、この本を手にとっていただけたら、と密かに思っています。自分の気持ちを抑えた親との会話はとても疲れるものですが、この本は嘘や無理のないやりとりのとっかかりとして重宝するからです。

私のおとうさんの物語 #出版社 #父の日

《最新刊のご案内》弊社最新刊『そして、「悪魔」が語りだす:司法精神科医が出会った狂気と共感の物語』(グェン・アズヘッド、アイリーン・ホーン著/宮﨑真紀 訳)が出来上がりました。☽本書の著者グウェン・アズヘッドは、英国を代表する司法精神科医で...
01/06/2024

《最新刊のご案内》
弊社最新刊『そして、「悪魔」が語りだす:司法精神科医が出会った狂気と共感の物語』(グェン・アズヘッド、アイリーン・ホーン著/宮﨑真紀 訳)が出来上がりました。


本書の著者グウェン・アズヘッドは、英国を代表する司法精神科医です。約30年にわたって犯罪者と関わりつづけ、多数の論文を発表してきました。
その彼女が、この本で初めて一般の人々に向けて、これまで出会った人のこと、忘れられない出来事のことを記したのがこの本です。

登場するのは各章にひとり計11人。それぞれの章で、どういう人が、どんな罪を、なぜ犯したのかが徐々に明らかになっていきます。
彼ら彼女らは、最初のうちはみな一様に口が重いのですが、アズヘッド先生と面談を重ねるうちに少しずつ心を開いていき、ついには犯行の日のことを自ら語り始めます。
その会話や告白の描写は臨場感たっぷりで、思わずゾクッとすることもしばしば。そうしたストーリー運びの素晴らしさも高い評価を受けています。

もちろん、加害者の側に光を当てているからといって、その罪を軽視しているのではありません。
犯した罪は決して消えないし、その罪は償い、悔い改めねばならない。そのうえで著者がこの本で伝えたいのは、人を切って捨てたり決めつけたりするのは簡単だが、そこからは何も生まれないということであり「〝運に恵まれなければ〟私たちだってその一人になっていたかもしれない」ということです。

国内外で信じられないような事件が繰り返されるなか、これ以上「悪魔」が増えないために、そして自分自身が「悪魔」にならないために、私たちには何が必要なのでしょうか? 
この貴重な記録にふれた方は、否応なしにそのことを考え、それぞれの答えを得ることと思います。読み終わったら、たぶん犯罪のニュースを見る目も変わるでしょう。

先日の本書のご案内の際に、カバーにあるダイヤル錠は「人はどのようにして犯罪を犯すようになるのか」を解く、文字どおり「鍵」として登場すると記しましたが、じつはダイヤル錠にかぎらず、本書ではイギリス文学や心理学にちなんだ比喩や格言もいろいろ登場します。
本を愛する方には、それらもお楽しみいただけると思います。


タイムズ紙年間最優秀作品、ノンフィクション・ゴールドダガー賞最終候補に輝いたこの秀作を、殺伐さを増す日本に生きる皆さまにも読んでいただきたいと願っています。
ヒューマニティあふれる名著です。

・6月頭から順次、全国の書店に。
・只今、予約受付中。
・代官山 蔦屋書店様、八重洲ブックセンター阿佐ヶ谷店(旧書楽)では先行販売中です。

#そして悪魔が語りだす

《あの人、この人登場号》「暮しの手帖」最新号は、きくちちきさんの表紙絵がかわいいですね。今回「すっぱうまい季節です」というページに、レザ・ラハバさんの料理が載っていると知って買ってきました。𓅫 イラン人のレザさんが作る、故郷のペルシャ料理は...
28/05/2024

《あの人、この人登場号》
「暮しの手帖」最新号は、きくちちきさんの表紙絵がかわいいですね。
今回「すっぱうまい季節です」というページに、レザ・ラハバさんの料理が載っていると知って買ってきました。

𓅫

イラン人のレザさんが作る、故郷のペルシャ料理は、どれも体に良くてとても美味しい。フルーツや野菜の食べ方なども参考になることが多く、パートナーの長谷川さんと『家庭で楽しむペルシャ料理』(河出書房新社)という本も出されています。
しかし、じつはレザさんは、料理だけでなく詩や絵でも活躍されているのです。
弊社の『娘たちへの手紙』には、どのページにもイラストが散りばめられていますが、それを描いてくださったのがレザさんです。
苦難の日々が生んだ大らかなアンジェロウのことば、世界的偉人のひとりであるアンジェロウのことばに、レザさんの同じくおおらかで無国籍な画風がよくマッチしています。

そんなわけで、これからの季節にせっせと「すっぱうまい」料理を作ろうと思ってふと見たら、なんとこのコーナーの一人目はいつもインスタの投稿を楽しみにしている馬田草織さん()ではないですか。トマトに目がないので、この簡単で美味しそうな一品も必ず作ってみなければ。

ーーと嬉しい偶然を喜びながら他のページもめくっていたら(「暮しの手帖」は読みたいページばかり)、今度は本の紹介コーナーに、うんと年下ながら尊敬している、八戸ブックセンターの森花子さんが出てきてさらにびっくり。
ふだんから、疲れが溜まったときは児童文学を手にして心身を整えることが多いのですが、この斉藤倫さんの『さいごのゆうれい』(福音館書店)は知りませんでした。近いうちにさっそく読んでみようと思います。

𓅫

#娘たちへの手紙

《3刷へ》自分だけの秘密を楽しむユニーク本として、世界中でブームになっている『書いたら燃やせ』、おかげさまで日本版も好調で、たちまち3刷が決まり、もうすぐ出来上がります。🖊️🔥誰も見ていないところで、いつもつけている仮面をはずし、どの質問に...
16/05/2024

《3刷へ》
自分だけの秘密を楽しむユニーク本として、世界中でブームになっている『書いたら燃やせ』、おかげさまで日本版も好調で、たちまち3刷が決まり、もうすぐ出来上がります。

🖊️🔥

誰も見ていないところで、いつもつけている仮面をはずし、どの質問にも遠慮なく正直に答えていくひとときーーこれがなかなかの快感です。

繰り出される質問は、好みや習慣などごく〝ノーマル〟なものから、誰にも口にしたことのない〝黒い気持ち〟を問うものまでいろいろです。
また答え方も、羅列された項目の中から直感で次々に選ぶものもあれば、ベスト3を挙げたり、1ページを使って自由に書くものなどバラエティに富んでいて、飽きることがありません。

そのせいか、ぱっと見の薄さとは裏腹に、全部答えるまで想像以上に長く、濃く、ひとり遊びを堪能できます。
ふだんの自分が、知らぬ間に「表向き」の回答ばかりしていることに気づく方も多いでしょう。

よろしければ皆さまもお試しください。

#書いたら燃やせ

《次の新刊は》弊社の5月新刊『そして、「悪魔」が語りだす』のカバーが出来上がりました。🔓これは、さまざまな罪を犯した11人の加害者それぞれとの対話を通して、彼らの心の奥に隠れていた闇と希望にひたひたと迫る、イギリスのベストセラーノンフィクシ...
10/05/2024

《次の新刊は》
弊社の5月新刊『そして、「悪魔」が語りだす』のカバーが出来上がりました。

🔓
これは、さまざまな罪を犯した11人の加害者それぞれとの対話を通して、彼らの心の奥に隠れていた闇と希望にひたひたと迫る、イギリスのベストセラーノンフィクションです。

彼ら彼女らは、司法精神科医アズヘッド先生との面談を重ねるうちに、少しずつ口を開き、ついには犯行の日のことを自から語り始めます。
その会話や告白は、決して大仰な描写ではないのに(あるいはそれだからこそ)臨場感たっぷりで、どんどん引き込まれていきます。

読み終わったら、国内外で繰り返される犯罪のニュースを見る目が変わるかもしれません。
カバーになぜダイヤル錠があしらわれているのかも、すぐおわかりになるでしょう。

🔓
全国の書店には6月初旬頃並びます。
只今、予約受付中です。
どうぞよろしくお願いいたします。

#そして悪魔が語りだす

住所

吉祥寺南町2-25-14/105
Musashino, Tokyo
180-0003

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