24/06/2024
リナト・アフメトフとミルチェア・ルチェスクはテーブルをセットした。あとは大勢のゲストに来てもらうだけだ。ファンだけに限った話ではない。
「美しいゲームを見せるため人々をスタジアムへ連れてくる」という考えだったとルチェスクは話してくれた。
彼と会長は、可能な限りスタイリッシュなシャフタールを作り上げるという彼らのビジョンこそがその大黒柱になると確信していた。
2人が一緒にまず築かなければならなかったのは、チームに加入して活躍してくれることを彼らが夢見ていたブラジル人タレントたちのための環境だった。
野球場のダイヤモンドを作り始める前に、まずはトウモロコシ畑の整地から始めなければならないようなものだ。彼らにとってのヒューストン・アストロズを作り上げられるようになるのはもう少し先のことだ。
会長と監督が初めて試合後のミーティングを行った日から、2020年の秋まで時間を早送りしてみれば、アフメトフの夢と願望によって実体化されたルチェスクの哲学がクラブのDNAにしっかりと息づいていることは明白だった。
「東欧最強クラブ」と呼ばれるウクライナのシャフタール・ドネツク。チーム関係者の膨大な証言を通して、知られざる流浪の英雄たちの戦いに光を当て、クラブの熱源に迫った『流浪の英雄たち シャフタール・ドネツク.....