![映像作家 松井至さんの連載「人に潜る」新しい章〈光を読む|映画『私だけ聴こえる』〉がはじまりました。/2015年のある昼下がり、シャワーを浴びながら詩の数行をふと思い出して『私だけ聴こえる』の制作は始まった。おれは三日間音を殺してみたおれは...](https://img3.medioq.com/913/862/1163227589138620.jpg)
14/12/2024
映像作家 松井至さんの連載「人に潜る」
新しい章〈光を読む|映画『私だけ聴こえる』〉がはじまりました。
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2015年のある昼下がり、シャワーを浴びながら詩の数行をふと思い出して『私だけ聴こえる』の制作は始まった。
おれは三日間音を殺してみた
おれは三日間色を剥ぎとってみた
おれは三日間形を毀してみた
『おびただしい量』岡田隆彦
詩に倣って少しの間、音を殺してみる。
遠ざかる車の音、廊下を歩く足音、体から水の滴り落ちる音をひとつひとつ意識から消していく。一切の音が聴こえない状態に浸りながら目を閉じると映像が浮かんできた。
東日本大震災のすぐあと、警報と叫び声が行き交い、聴こえる人たちはみな避難して居なくなった街の一軒の家に聴こえない夫婦がいる。家具を元の位置に戻し、停電で付かなくなったテレビの線を抜き差しして生活に戻ろうとしている。彼らの住む住宅地の背後に黒い壁のような津波が音もなく近付いている。
その一枚の画が脳裏に焼き付いた。
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世間が作家・松井至を発見した映画『私だけ聴こえる』の制作の背景であり、いまも変化し続ける松井さんの世界のひとつの転換点が描かれます(3回連続)。
ぜひお読みください。
https://shinyodo.net/diary/1680/
#松井至 #私だけ聴こえる #コーダ #つぎの民話