16/11/2025
超電導モーター搭載の液体エンジンへ挑戦
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、液体水素を燃料とする液体水素エンジンGRカローラ( #32 TGRR GR Corolla H2 concept)
を搭載し、「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 第7戦 S耐FINAL大感謝祭」で走行した。また液体水素技術はさらなる進化に向けて超電導技術の開発に取組む。液体水素ポンプ用超電導モーター搭載の車両によるレース参戦も近い。
すでに新充填バルブを採用した安全性の向上と軽量化、および水素エンジン燃焼切替技術の実証などで進化を遂げており、液体水素を昇圧しエンジンに送るポンプの交換なく完走を果たし、耐久性の向上を確認している。
一方、依然としてエンジン出力増加にともないポンプへの負荷は増大し、最大出力での連続走行には耐久性の面で課題があった。24時間耐久レース以降もポンプの昇圧性能と耐久性を確認するテスト走行をくり返し、今回のレースでは最大出力での連続走行に挑戦した。
また、液体水素技術の可能性を広げるために継続的に取組む超電導技術の開発では、超電導モーターを燃料タンク内に搭載した車両での走行ができる段階まで進んでいる。高効率で小型超電導モーターをタンク内に搭載し、スペースをつくり出すことで、1.3倍以上のタンク容量を拡大でき航続距離の向上につながる。
加えて軽量・低重心化による走行性能の向上や、入熱源のフランジがなくなることでボイルオフ量も低減が期待できる。
液体水素特有のマイナス253℃の温度環境は、特定の物質を極低温に冷やすと電気抵抗がゼロになる超電導にとって適した温度帯である。液体水素車両と超電導技術の親和性を最大限に生かすことで、水素エンジン車の可能性を大きく広げる。